【事例解説】元恋人に脅迫メールを送り逮捕

2023-06-23

 元恋人のスマートフォンに、殺害を示唆する内容の脅迫メールを送り付けて逮捕された事件を参考に、脅迫罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

 福岡県宗像市在住の会社員男性A(46歳)が、元恋人の女性V(35歳)のスマートフォンに、Vの殺害を示唆する内容の脅迫メールを送り付けたとして、脅迫罪の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、Aは「VがXと交際したことに腹が立ち、VとXを殺害する内容の脅迫メールをVに送った」と供述し、脅迫罪の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

脅迫罪とは

 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第222条)。

 「脅迫」とは、一般人に恐怖心を抱かせる程度の害悪の告知のことをいいます。「殺す」など、相手方の「生命」に具体的な危害を加える内容のものであれば、当然これに該当します。
 脅迫行為それ自体が犯罪となるため、脅迫の内容が被害者に到達して認識されさえすれば、真意のものではないなどと考えて被害者が恐怖心を抱かなかったとしても、脅迫罪の成立は妨げられません。
 また、告知の方法に制限はないため、口頭、文書やメールの他、SNSやブログへの投稿で脅迫罪に問われるケースもあります。

 よって、本件でAがVに対し、Vを殺害する内容のメールを送ったことは、Vの生命に対し害を加える旨を告知してVを脅迫したものとして、脅迫罪が成立し得ます。

 なお、同条第2項により、親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した場合も脅迫罪が成立するとされますが、恋人や内縁関係の配偶者は親族に当たらないため、本件の脅迫メールにおいてX殺害を示唆する内容の部分については、Vに対する脅迫罪は成立しないと考えられます。

脅迫罪の刑事弁護

 脅迫罪は、人の意思決定の自由を保護法益とする罪とされるため、被害者との示談が成立している場合には、不起訴処分刑の減軽を得られる可能性が高まります。

 当事者同士では、冷静な示談交渉が期待できず新たな紛争を生むおそれがあるほか、示談の内容に不備があることで、一旦示談が成立したにも関わらず後日紛争が蒸し返されるおそれもあることから、被害者との示談交渉は、弁護士に依頼して行うことをお勧めします。

 示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することで、双方が十分に納得のいく示談が成立する可能性を高めることができます。

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 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、脅迫罪での示談締結による不起訴処分を獲得した実績があります。
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