【事例解説】酒に酔って器物損壊事件 自首を検討

2023-06-16

 酒に酔って駐車場の自動精算機を破壊した器物損壊事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、飲み会後に自宅へと帰る途中、コインパーキングに設置してある自動精算機にぶつかりました。
 Aさんは、酒に酔っていたことも相まって、急にむしゃくしゃしてしまい、自動精算機を殴ったり蹴ったりして破壊して、その場から立ち去りました。
 後日、Aさんは、自身が自動精算機を破壊している様子が映った防犯カメラの映像がニュースで取り上げられていることを知り、警察へ自首することを考え始めました。
(この事例はフィクションです)

酒に酔って自動精算機を破壊するとどのような罪に問われる可能性がある?

 事例のAさんは、コインパーキングに設置されている自動精算機を破壊しています。
 このように自動精算機を物理的に破壊してしまった場合、刑法261条の器物損壊罪が成立する可能性があります。
 器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料となっています。

自首はどのような場合に成立する?

 事例のAさんは、ニュースで自分が自動精算機を破壊している様子が報道されたことを知ったことから、警察への自首を考えています。
 「警察が逮捕に来る前に警察へ出頭すれば刑が軽くなる」と考えている方がいらっしゃるかと思います。
 確かに、刑法42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定していますので、「捜査機関に発覚する前」自首をした場合には、刑が軽くなる可能性があることになります。
 ただし、この「捜査機関に発覚する前」とは、警察などの捜査機関が、犯罪の事実と犯人が誰であるかについて発覚していない場合を意味しています。
 そのため、警察が犯罪の事実と犯人が誰であるかについては既に把握しているものの、単に犯人がどこにいるのかが分からないがために、まだ逮捕できていないという場合に警察に出頭したとしても「捜査機関に発覚する前」自首をしたとは言えないと考えられています。

 冒頭の事例の場合には、Aさんが自動精算機を破壊している防犯カメラの映像がニュースで取り上げられていますので、既に警察が器物損壊事件として捜査を開始している可能性があります。
 そのため、器物損壊事件の捜査の具体的な進捗状況次第では、Aさんが警察に出頭しても自首が成立しないという場合もあり得るということになります。

器物損壊事件で警察への出頭をお考えの方は

 Aさんのように、器物損壊事件に関して警察へ自首をすることをお考えの方は、いち早く弁護士に相談されることをお勧めします。
 弁護士に相談されることで、そもそも今回の器物損壊事件で自首が成立する可能性があるのかどうか、警察へ出頭した後はどのような流れで捜査が進んでいくのかといったことついてアドバイスをもらうことができるでしょう。
 また、仮に自首が成立する可能性が低い場合であっても、器物損壊事件のような被害者の方がいる事件の場合には、被害者の方と示談することができれば、前科をつくことを回避することができる可能性を高めることができますので、弁護士に弁護活動を依頼するメリットは大きいと考えられます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 器物損壊事件で警察への出頭をしようかどうか悩まれている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。