【報道解説】威力業務妨害罪で逮捕
【報道解説】威力業務妨害罪で逮捕
【報道紹介】
「『札幌パルコ』で、28日、爆弾騒ぎがあり、客が避難するなど一時、騒然となりました。
警察は、関与したとみられる男を逮捕しました。
28日午後3時前、男の声で『パルコに爆弾を仕掛けた』と110番通報がありました。
札幌市中央区の『札幌パルコ』は、客や従業員を一時避難させ、警察官らが店内を捜索しましたが、不審物は見つかりませんでした。
警察は午後3時すぎ、JR札幌駅近くの別の商業施設で、ナイフを持っていたとして、57歳の男を現行犯逮捕しました。
男は、札幌パルコの件で電話をかけたことを認めているということです。
警察は威力業務妨害の疑いでも捜査しています。
(令和4年7月28日にHBC北海道放送より配信された報道より引用)
【威力業務妨害罪とは?】
威力を用いて人の業務を妨害した場合には威力業務妨害罪が成立します(刑法234条)。
「威力を用いて」とは、業務妨害の手段として、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すことを意味しています。
そしてそのように威力を用いたことによって実際に人の業務が妨害された場合に威力業務妨害罪が成立するのは当然ですが、実際に人の業務が妨害されなくても業務を妨害するに足りる行為なされたのであれば威力業務妨害罪が成立すると考えられています。
威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
今回取り上げた報道では、逮捕された男性が商業施設に爆弾を仕掛けたと110番連絡をした疑いがあり、警察による捜査を受けているとの記載があります。
爆弾を仕掛けたと連絡したことにより威力業務妨害罪が成立した例として、仙台地方裁判所平成27年3月30日判決があります。
この裁判例では、被告人が在籍していた大学に対して、3回にわたって爆破予告などを内容とする書面を大学に送付したことで、大学職員らに対して警察への通報や講義の休校などの措置をとることを余儀なくさせて大学職員らの正常な業務の遂行に支障を生じさせたとして、威力業務妨害罪の成立を認め、被告人に懲役1年6か月、執行猶予3年の判決を下しました。
このように今回取り上げた報道と同種の裁判例もありますので、逮捕された男性が実際に爆弾を仕掛けたと110番通報したのであれば、威力業務妨害罪が成立する可能性が高いということができるでしょう。
【威力業務妨害罪で警察の捜査を受けている方は】
威力業務妨害罪で警察の捜査を受けてお困りの方は、まずは一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に事件について相談することで、今後の事件の見通しなどについて専門的な知見に基づくアドバイスを得ることができるでしょう。
威力業務妨害罪は罰金刑のみならず懲役刑も定められている犯罪ですので、場合によって検察官に起訴されると公開の裁判が開かれる可能性があります。
刑事裁判が開かれると事件解決のために時間が掛かってしまいますので、事件の早期解決を目指される場合は、すぐに弁護士に相談するのが良いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
威力業務妨害罪について警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。