【報道解説】強盗罪の共犯で逮捕、勾留、接見禁止

2022-08-04

【報道解説】強盗罪の共犯で逮捕、勾留、接見禁止

強盗共犯事件で逮捕され、勾留が決まった際に接見禁止が付いた事例に関する刑事責任と刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例紹介】

「お金に困っていたAさんは、SNSで募集していた『高額バイト』に応募しました。
そこで、Aさんは、SNSでやり取りしていた人の指示のもと、面識のないBさんと一緒に、東京都でひとり暮らしをしているVさんの家に押し入って、強盗をする計画を立てました。
その計画に基づいて、AさんらはVさん宅に押し入り、AさんがVさんにナイフを突きつけている間に、BさんがVさんの家から現金や貴金属を盗み出しました。
Bさんは、ひと通り金目の物を盗み出した後にAさんを置いてさっさとVさんの家から逃げ出しました。
Bさんが逃げ出したことに気が付かずにVさんの家に留まっていたAさんは、近所の人の通報により駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。
Aさんは逮捕後に勾留が決まりましたが、その際に接見禁止決定が出されました。
Aさんの両親は、勾留期間中にAさんと接見できないことを知り、弁護士に相談しました。」
(この事例はフィクションです)

【強盗の共犯事件】

相手方の反抗を抑圧する程度の暴行脅迫を用いて現金などの財物を奪う行為は、強盗罪に当たります。
事例では、AさんがナイフをVさんに突きつけるという脅迫行為をしている間に、Bさんが財物を奪っていて、それぞれ役割を分担しています。
そうすると、Aさんは脅迫をしただけで財物を奪っていないですし、Bさんは財物を奪っただけで脅迫行為をしていないので、それぞれ強盗罪が成立することにならないのではないかと思われるかもしれません。
しかし、AさんとBさんは事前に強盗罪をすることについて共謀していて、その共謀に基づいて強盗をしています。
このような場合は、「共同して犯罪を実行した」(刑法60条)といえますので、Aさんは自身がやっていない財物を奪った行為について、Bさんは自身がやっていないVさんに対する脅迫行為について、それぞれ自分が行ったものとして責任を負うことになります。
その結果、AさんもBさんも強盗罪(刑法236条1項)が成立することになるでしょう。
強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

なお、AさんとBさんには強盗罪の他に住居侵入罪(刑法130条前段)が成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

【接見禁止決定とは】

事例では、Aさんに勾留が決まった際に接見禁止決定が出されています。
勾留期間中は、親族や友人といった弁護人以外の人は、被疑者と法令の範囲内で接見することができます(刑事訴訟法207条1項、80条)が、例外的に被疑者と接見ができなくなる場合があります。
それが、裁判所が、親族や友人などの弁護人以外の者が被疑者と接見することを禁止する決定(接見禁止決定)を出した場合です。
接見禁止決定は、被疑者が「逃亡又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」(刑事訴訟法81条)に出すことができます。
「逃亡又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」があるか否かは個別の事件の具体的事情に基づいて判断されることになりますが、殺人などの重大事件や、共犯者がいる事件、薬物事件、組織的な犯行による事件の場合には、比較的接見禁止が認められることが多いと言えます。

【接見禁止を解除してもらうには?】

ただでさえ身柄を拘束されている状態で肉体的・精神的なストレスがかかるなかで、それに加えて家族の人と面会ができないとなることは、勾留中の被疑者にとって非常に苦痛に感じられることになるでしょう。
また、ご家族の方にとっても、勾留中の被疑者の様子が気がかりで不安に思うなかで、逮捕されてから一度も面会できないという事態は早期に解消される必要があります。
このように、勾留されている被疑者と家族との接見を早期に実現するためには、弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士であれば、裁判所に対して接見禁止決定について不服を申し立てる準抗告という手続をとることができます。
家族との接見を認めても「逃亡又は罪証を隠滅する」おそれがないということを、具体的な事実に基づいて主張し、その言い分が裁判所に認められれば、家族との接見が実現することになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です
ご家族の方の中に勾留されている方がいて接見禁止決定がついていて接見ができずにお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください