【報道解説】刃物の暴力犯罪で暴力行為等処罰法違反で逮捕

2022-07-24

【報道解説】刃物の暴力犯罪で暴力行為等処罰法違反で逮捕

【報道紹介】

刃物を用いた脅迫暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

「父親に包丁を突きつけ脅迫したとして7月17日、47歳の男が逮捕されました。
暴力行為等処罰に関する法律違反現行犯逮捕されたのは、富山県の自称・内装業の47歳の男です。
警察によりますと、男は7月17日午後11時59分ごろ、同市東区に住む80代の父親が住む自宅で父親に包丁を突きつけ『ぶっ殺すぞ』などと脅迫したということです。
男は仕事で札幌市を訪れていましたが、自ら『これから親父(おやじ)を殺す』と110通報し、それを受けて現場に警察官が駆け付けたところ、男が包丁を手にしていたためその場で逮捕したということです。
調べに対し、男は『包丁を突きつけたのは間違いない』等と容疑を認めているということです。
警察は動機などを詳しく調べることにしています。

(令和4年7月18日に北海道ニュースUHBで配信された報道より引用)

【暴力行為等処罰に関する法律とは?】

暴力行為等処罰に関する法律暴力行為等処罰法)という法律をご存知でしょうか。
人を殴ったり、殴って怪我をさせた場合には、それぞれ刑法が規定する暴行罪傷害罪という犯罪に当たることになります。
暴力行為等処罰法は、多人数の集団で暴行を働いた場合や、拳銃や刃物などを用いて人を怪我させた場合などについて、刑法に定める暴行罪傷害罪よりも重く処罰するための法律で、大きく次の5つの場合について規定しています。

暴力行為等処罰法1条では、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)の罪を、実際に多人数の集団で行った場合や、多人数の集団であるかのように装って行った場合、又は包丁などの凶器を示して行った場合を処罰の対象にしています。
報道では、逮捕された男性は被害者である父親に対して包丁を突きつけて「ぶっ殺すぞ」と脅迫をした疑いがあるとのことですので、この暴力行為等処罰法1条に当たると考えられます。
暴力行為等処罰法1条の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となっています。

暴力行為等処罰法1条の2第1項では、銃砲刀剣類を用いて人の身体を傷害した場合を規定していて、その法定刑は1年以上15年以下の懲役となっています。
なお、実際に、鉄砲刀剣類を用いて相手に怪我をさせなかったとしても、未遂犯として処罰される可能性があります(同条2項)。

暴力行為等処罰法1条の3では、常習的に傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)を犯した者が、人を傷害したときは1年以上15年以下の懲役を科すと規定しています。
なお、このような者が、人を傷害していない場合は3月以上5年以下の懲役が科せられることになります。

暴力行為等処罰法2条では、財産上不正の利益を得る目的で第1条の方法によって、面会を強請したり、自身の要求に従わせようと強引な主張をして脅す(強談威迫)行為をした者は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金を科すとしています。

暴力行為等処罰法3条1項では、第1条の方法によって、殺人罪(刑法199条)、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、強要罪(刑法223条)、威力業務妨害罪(刑法234条)、建造物等損壊罪(刑法260条)、器物損壊罪(刑法261条)を犯す目的で、金品などの財産上の利益や職務を供与したり、その申込や約束をしたりする場合や、事情を知った上で供与を受けたり、要求や約束をした者は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金を科すとしています。
また、第1条の方法によって、公務執行妨害罪(刑法95条)を犯す目的で、暴力行為等処罰法3条1項の行為をした者は6月以下の懲役若は禁錮又は10万円以下の罰金が科されることになります(暴力行為等処罰法3条2項)。

【暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまったら?】

ご家族の方が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまったら、まずは弁護士に初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
単なる暴行罪傷害罪だと思っていたら、実は暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたという場合が考えられますので、一体どのような罪で逮捕されたのか、事件が今後どのような手続で進められるのか、事件の見通しがどのようなものであるかなどといったことについて、初回接見に向かった弁護士から直接説明できることが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
ご家族の方が暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。