少年による傷害事件と示談
少年による傷害事件と示談
少年による傷害事件と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
高校1年生のAさんは、大阪府堺市北区に住んでおり、近所の高校に通っています。
ある日Aさんは、自身の通う高校の近くで、近隣の高校の生徒であるVさんとささいなことから喧嘩となり、Vさんを殴ってしまいました。
それを目撃していた人が大阪府北堺警察署に通報し、大阪府北堺警察署の警察官が臨場。
Vさんは全治1週間のけがを負っていることが判明し、Aさんは傷害罪の容疑で取調べを受けることになりました。
Aさんの両親は、どうにか示談をして事件を終息できないかと弁護士に相談しましたが、そこで成人の刑事事件と少年事件の手続の違いについて詳しく聞き、少年事件と示談の関係について知ることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・喧嘩から傷害事件に
喧嘩で手が出てしまった場合、成立が考えられる犯罪の代表例としては、今回のAさんが調べられている傷害罪と暴行罪が挙げられます。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
簡単にいえば、傷害罪も暴行罪も人に暴力をふるった場合に成立する犯罪ということは共通していますが、相手に暴力をふるった場合に相手がけがをしてしまえば傷害罪、けがをしていなければ暴行罪となります。
今回のAさんは、Vさんを殴ってけがをさせているため、傷害罪が成立すると考えられるのです。
・少年事件は示談で終わらない?
傷害事件には、今回のVさんのように被害者が存在します。
こうした被害者の存在する事件を起こしてしまった場合、被害者に謝罪し、示談をして事件を終息させたいと思う方も多いでしょう。
実際、成人による刑事事件では、前科前歴ある、余罪が多く存在する、などという特別な事情がない場合には、示談によって不起訴処分となり刑罰や裁判を回避できるケースも多く存在します。
しかし、少年事件の場合、示談をしたからといって事件が終了するというわけではないのです。
少年事件では、原則として最終的に少年に下される処分は、少年の更生のための処分、すなわち、少年が再犯しないようにするための処分となります。
家庭裁判所では、少年自身の性格やその環境などの事情を調査し、少年事件が起こった原因や、再犯しないためにはどうした環境に少年を置くべきなのかといったことが調査されます。
ですから、少年の更生という観点で考えると示談以外の要因、例えば少年の暮らしている周囲の環境の調整など考慮されるため、たとえ被害者と示談が成立していても、それで終わりとはならないのです。
示談をしても、少年の周囲の環境が少年の更生に適する環境となっていなければいけないのです。
しかし、だからといって、少年事件では被害者への謝罪や示談を全く無視していいというわけでもありません。
謝罪や示談ができている、もしくはする準備ができているということは、少年やその家族が事件を真摯に受け止め、反省を深めているということを主張するための事情となりえるからです。
このようにして、少年事件の場合は示談というものの立ち位置は非常に複雑です。
だからこそ、傷害事件等の被害者の存在する少年事件にお悩みの場合は、少年事件を取り扱う弁護士に相談すべきと言えるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件専門の弁護士が大阪府の少年事件のご相談も承っております。
まずは0120-631-881へお気軽にお問い合わせください。