老人ホームでの虐待事件
老人ホームでの虐待事件
老人ホームでの虐待事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、福岡県北九州市小倉北区の老人ホームに勤務しています。
Aさんは、入居者のお年寄りVさんに対し、身体を殴るはたくといった暴行を日常的に行っていました。
しかし、Vさんの家族がVさんの身体にあざが複数あることに気付き不審に思い、福岡県小倉北警察署に相談したことからAさんの行いが発覚しました。
Vさんの家族は福岡県小倉北警察署に傷害罪の被害届を提出し、Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが傷害罪で逮捕されたとの連絡を受け、まさかAさんが仕事先で虐待行為を行っていたとは思わず、大きく混乱しています。
自分たちでは何をすべきなのか分からず困ったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に今後について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・家庭以外での虐待事件
虐待という言葉を聞くと、家庭内暴力(DV)や児童虐待について思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、虐待は被害者が子供の児童虐待や家庭内で起こる虐待だけでなく、上記事例のAさんが起こしてしまったような老人ホームでの高齢者虐待も存在します。
児童虐待も老人ホームでの高齢者虐待も、「虐待罪」というような犯罪が成立するわけではなく、刑法や特別法の中でその虐待行為の態様が該当する犯罪が成立することになります。
例えば、今回のAさんの虐待事件の場合、入居者であるVさんを殴るなどして暴力をふるい、怪我を負わせているようです。
こうしたことから、Aさんには刑法の傷害罪や暴行罪が成立すると考えられます。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
傷害罪と暴行罪は、人に暴力をふるうという部分については共通していますが、その暴力によって相手が「傷害」されたかどうか、すなわち怪我を負ってしまったかどうかという部分が異なります。
簡単に言えば、暴力をふるって相手が怪我をしてしまえば傷害罪、怪我を負うに至らなければ暴行罪が成立するということになるのです。
今回のAさんの虐待事件では、Vさんは体にあざができていたとのことですから、打撲等の怪我を負っていた可能性が高いでしょう。
そういった怪我の診断書が提出されるなどして、Aさんに傷害罪の容疑がかかったと考えられます。
・虐待事件での逮捕
虐待事件では、加害者である被疑者と被害者が同じ家庭内や同じ施設内にいることも多いです。
今回のAさんの虐待事件でも、Aさんは老人ホームの職員であり、被害者のVさんはその老人ホームに入居しています。
このように加害者と被害者が近い場所にいる刑事事件の場合、お互いの接触を避けるために逮捕・勾留を伴って捜査が行われることも少なくありません。
逮捕・勾留は延長も含めて最大23日間の身体拘束となり、被疑者やその家族は精神的・身体的な負担だけでなく、社会的な負担も負うことになります。
さらに、今回のような虐待事件では被害者が存在するため、被害者に謝罪し、被害弁償することも重要となってきますが、逮捕・勾留されている状態ではなかなかそうした謝罪をすることも難しいでしょう。
被疑者本人に代わってご家族が謝罪をするにしても、捜査機関から取り次いでもらえないことも少なくありません。
だからこそ、虐待事件で逮捕されたら、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士が介入することによって、逮捕・勾留されている被疑者に直接取調べ対応等のアドバイスを行うことができ、釈放を求める活動をすることもできます。
そして、被害者への対応にも弁護士が間に入ることによって、謝罪・弁償をする際の被害者側の不安や負担も軽減することが期待できます。
弁護士を介することで、被害者側が直接被疑者やその家族と連絡を取らなくてよくなるため、恐怖や被害感情が強かったとしても安心して話をすることができるためです。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、老人ホームでの虐待事件などの傷害事件・暴行事件にも対応しています。
虐待事件で逮捕されたら、まずは弊所弁護士までご相談ください。