昏酔強盗事件で逮捕・強盗事件における弁護活動
昏酔強盗事件で逮捕・強盗事件における弁護活動
昏酔強盗事件で逮捕された事例を題材に、強盗事件の類型やその弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
Aは、千葉市若葉区内で、Vと飲食を共にしていたが、Vを眠らせた隙にVの財布を盗もうと考え、Vの飲み物の中に睡眠薬を混入した。
Aが薬を混入した飲み物を飲んだ後、Vは昏睡状態に陥ったため、AはVの財布を盗みだした。
財布を盗まれたことに気づいたVから相談を受けた千葉県千葉東警察署が捜査を開始し、千葉県千葉東警察署の警察官は、Aを昏酔強盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)
~強盗罪のバリエーション~
本件でAは、Vの財布を盗んだことで昏酔強盗罪の容疑で逮捕されています。
昏酔強盗罪(刑法239条)とは、一般にはあまり耳慣れない犯罪かもしれません。
もっとも刑法典には、昏酔強盗罪以外にも強盗に関する様々なバリエーションの犯罪類型が規定されているのです。
そこで、本稿では、刑法236条以下に規定されている強盗罪の多様な犯罪類型について概観してみることにします。
まず、暴行や脅迫行為によって財物を強奪する典型的な強盗罪が、刑法236条1項に規定されています。
これは刑法235条の窃盗罪を、暴行又は脅迫を手段として犯した場合として理解できます。
もっとも、刑法236条は2項において、窃盗罪が処罰対象としていない「財産上の利益」についても処罰対象としています。
したがって、利益窃盗は不可罰とされているため処罰されませんが、これを暴行・脅迫行為を手段として犯した場合には刑法236条2項にある強盗(いわゆる2項強盗)として処罰の対象となりうるのです。
さらに、刑法238条では、やや変わった規定として事後強盗罪が定められています。
これは、基本類型である、いわゆる1項強盗における暴行・脅迫行為と財物奪取行為の時系列が逆になったものです。
つまり、窃盗罪を犯したあとに、物を取り返されるのを防いだり逮捕を逃れたりするためなどに暴行・脅迫行為をした場合にも、1項強盗と同視し強盗罪として処罰されることになります。
そして、本件で問題となっているのが、刑法239条が規定する昏酔強盗罪です。
昏酔強盗罪は、財物を盗む行為が暴行・脅迫行為を手段に行われなくても、「人を昏酔させる」ことによって物を盗んだ場合には、1項強盗と同様の可罰性があるとし強盗罪として処罰を可能とした規定です。
また、ここまで見てきた様々な強盗罪に伴って被害者等を死傷させた場合には、強盗致死傷罪として240条によって「無期又は6年以上の懲役」または「死刑又は無期懲役」と極めて重い罪が問われることになります。
なお、本件のような事例で注意すべきなのは、仮にVが睡眠薬によって眠らなかったとしても、昏酔強盗罪の実行の着手(刑法43条本文)が認められることです。
したがって、Vが眠らなかったためAがVの財布(やその他の財物)に触れることすらできなかったとしても、昏酔強盗未遂罪(刑法239条・243条)が成立することになるのです。
~強盗事件における弁護活動~
多くの場合は不起訴や略式罰金が見込まれる窃盗事件と異なり、強盗事件では重い刑事処分が問われることも覚悟しなければなりません。
もっとも初犯であり示談が成立している等の事情によっては、強盗事件でも不起訴になる可能性があります。
したがって、強盗事件においても起訴前の活動が極めて重要であることに変わりはなく、逮捕段階から先を見越した弁護活動を行っていくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗を含む暴力事件などの刑事事件を専門とする法律事務所です。
私選の弁護士であれば、逮捕直後の早い段階から弁護活動を行っていくことが可能です。
昏酔強盗事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。