【事例解説】ハロウィンで模造刀を携帯し、銃刀法違反の容疑で任意同行

2023-10-27

 ハロウィンでの模造刀の携帯により、銃刀法違反の容疑で任意同行を求められた架空の事件を参考に、模造刀の携帯が銃刀法違反になり得る場合や銃刀法違反事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 福岡市在住の男性Aは、ハロウィンの仮装として武士に扮し、路上で模造刀を携帯していたところ、巡回中の福岡県中央警察署の警察官に職務質問され、銃刀法違反の容疑で、警察署での取調べのための任意同行を求められました。
(事例はフィクションです。)

模造刀の携帯が銃刀法違反になり得る場合

 銃刀法とは、「銃砲刀剣類所持等取締法」の略称であり、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めています。

 「刀剣類」とは、刃渡り15センチメートル以上の刀や刃渡り5.5センチメートル以上の剣などを指します(同法第2条第2項)。
 本件のように、刃のない模造刀(模造刀剣類)の場合であっても、業務その他正当な理由による場合を除き、携帯が禁止されており、違反した場合、20万円以下の罰金が科せられる可能性があります(同法第22条の4、35条)。
 模造刀剣類とは、金属で作られ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物と規定されているため、模造刀が金属製の場合は、銃刀法違反が成立する可能性がありますが、アルミニウムやプラスチックなど非金属製の場合は成立しないと考えられます。

 なお、模造刀ではなく本物の刀の場合は、所持できるのは法令に基づき職務のため所持する場合や狩猟や舞台芸術などに用いるために都道府県公安委員会の許可を受けた場合などに限られ、違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(同法第3条、4条、31条の16)。

銃刀法違反事件における弁護活動

 本件のような、模造刀の携帯での銃刀法違反は珍しいケースかもしれませんが、包丁、カッターナイフや鋸など、刃体の長さが6センチメートルを超える刃物を、業務その他正当な理由なく携帯したとして、銃刀法違反の容疑で捜査を受けるようなケースは珍しくありません。なお、この場合の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です(同法第22条、31条の18)。

 携帯に「業務その他正当な理由」があれば銃刀法違反は成立しないことから、弁護活動としては、携帯していた刃物の形や種類、携帯した状況・理由などを把握した上、携帯に「業務その他正当な理由」があったと主張し得る事情を取調べの際に被疑者に的確に供述させるなどして、嫌疑不十分等による不起訴処分を目指すことが考えられます。
 どういった事情であれば、「業務その他正当な理由」があったと主張し得るかについては、法律の趣旨や過去の事件例などに基づく専門的な判断を必要とするため、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

 なお、携帯していた物が、非金属性の模造刀や刃体の長さが6センチメートル未満の刃物であるなど、銃刀法違反が成立しないことが明からな場合であっても、軽犯罪法違反など別の犯罪が成立する可能性もあるため、その場合でもなお弁護士へ相談することをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、刃物の携帯による銃刀法違反事件において、不起訴処分を獲得した実績があります。
 自身やご家族が銃刀法違反の容疑で警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。