【事例解説】盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕(後編)
盗撮ハンターの男が恐喝罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、盗撮ハンターとして様々な駅で盗撮犯を捕まえて、警察に通報する様子を撮影して動画サイトにアップするなどしていました。
ある日、Aさんが盗撮犯Bを捕まえたところ、Bが気の弱そうな人物であったため「警察に通報されたくなければ50万円を俺に払え」などと言ってBさんを脅迫しました。
Bさんは警察に逮捕されて、家族や職場に発覚することを恐れ、近くのATMで現金をおろして50万円をAさんに手渡しました。
後日、Bさんは盗撮してしまったことを後悔して、警察に自首するとともに目撃者の男に恐喝されて50万円を渡したことを説明しました。
Bさんからの話を聞いた警察は、恐喝事件として捜査を進め、Aさんを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)
盗撮ハンターに成立する犯罪
盗撮ハンターがした行為によっては、前編で解説した恐喝罪の他にもいくつか成立し得る犯罪があります。
まず、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えることを告知した場合、刑法222条の「脅迫罪」(出典/e-GOV法令検索)が成立する可能性があります。
具体的には盗撮犯ハンターが、金銭的な要求をしていなかったとしても「会社にいうぞ」などと言って盗撮犯を脅した場合には、脅迫罪に問われる可能性があるでしょう。
次には、刑法246条の「詐欺罪」(出典/e-GOV法令検索)も成立する可能性があります。
詐欺罪は、簡単にいうと相手を騙して財物や財産上不法の利益を得る行為をした場合に成立します。
具体的には、盗撮ハンターと盗撮の被害者が親族や知り合いでもないのに「被害者が100万円払うなら示談をしても良いと言っている」と申し向け、示談金を受け取った場合です。盗撮犯としては、示談金として支払ったにも関わらず、そのような事実はなかったのですから、お金を騙し取られていることになるからです。
その他の成立し得る犯罪としては、盗撮ハンターが盗撮犯に殴る・蹴るの暴行をしたような場合は暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。
弁護士に相談を
恐喝罪・脅迫罪等の被害者がいる犯罪において軽い処罰を求めるためには、示談を締結することが刑事弁護活動で最も重要です。
被疑者が被害者に対し誠意を持って謝罪をして当事者間の問題解決(示談)に至れば、検察官が起訴することなく事件を終わらせる(不起訴)判断をする可能性が高まります。
ただ、被害者の怒りや被害の程度など、様々な事情から、示談が必ずしも円滑に進むとは限りません。
被害者が示談に応じない、あるいは、様々な示談条件を提示してくる等、示談交渉が難航する場合もあり得ますので、刑事事件の示談交渉の経験豊富な刑事事件専門の弁護士に弁護を依頼することを強くお勧めします。