殺すつもりはなかった 殺人罪の故意について(前編)

2025-06-12

殺人罪の故意について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

けんか

事例 

Aさんが路上を歩いていると、前から歩いてきた男性Vと肩がぶつかり口論になりました。
口論がヒートアップして、AさんはVさんの胸の辺りを軽く押しました。 
Aさんの行為により、Vさんは後ろに倒れ、その拍子に縁石に後頭部を打ち付けて倒れたまま動かなくなってしまいました
AさんとVさんの喧嘩を目撃していた通行人が救急車を呼び、Vさんは病院に救急搬送されましたが、Vさんは後頭部を打ち付けたことが原因となって死亡してしまいました。
Aさんは殺人の疑いで逮捕され、まさかVさんが死んでしまうとは想像もしていなかったAさんは困惑しています。
(フィクションです。)

殺人罪の故意とは

まず、殺人罪は、人を殺した場合に成立します。 
そうすると、Aさんの行為によりVさんは死亡しているため殺人罪が成立するように思えます
しかし、殺人罪の成立には殺人の故意(殺意)が必要とされています。
殺人の故意は、人を殺すことの認識・認容をいいます。
殺意は、人の内心の問題であることから被疑者の自白や供述が重要な証拠になります。
しかし、これだけでは不十分な場合も多いため、客観的事情も含めて判断されます。
具体的には、傷害の部位、傷害の程度、凶器の種類・用法、動機などから判断されます。

Aさんについて考えてみると

AさんはVさんが死んでしまうとは思ってもいなかったようです。
事例のAさんの行為は、喧嘩がヒートアップしたことから、Vさんの胸の辺りを軽く押しただけにとどまります。
胸を軽く押す行為により、Vさんを転倒させ縁石に後頭部を打ち付けさせようという意図も有していなかったと考えられます。
また、今回の場合は特に凶器なども用いていません。
そうすると、喧嘩がヒートアップしている状況であったことを勘案しても、Aさんに殺意が認められる可能性は低いと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
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