不同意性交等致死傷事件(旧 強制性交等致死傷事件)

第1 不同意性交等致死傷罪の概要

刑法第181条2項は,「第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。」と規定し,不同意性交等致死傷罪について定めています。

不同意性交等致死傷罪は,不同意性交等の際,被害者に怪我を負わせた場合や,被害者を死亡させた場合に,これを重く処罰するものです。不同意性交等致死傷罪も、非親告罪であるため、被害者の告訴がなくとも起訴される可能性があります。

 

1 成立要件

・「第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、」
不同意性交等罪(177条)、監護者性交等罪(179条2項)およびこれらの罪の未遂犯を指します。条文上,未遂犯も含まれていますので,不同意性交等罪等に着手し,死傷の結果が生じれば,不同意性交等致死傷罪が成立することになります。

・「よって人を死傷させた」
死傷結果は,性交等の行為自体から生じたものでなくとも,手段である行為により生じたものであっても成立します。例えば,被害者をナイフで脅迫した際に怪我を負わせた場合でも,被害者を姦淫し,処女膜を裂傷させた場合でも,同じく不同意性交等致傷罪が成立します。また,被害者が,逃走を図る途中で負傷した場合でも,不同意性交等致傷罪が成立する場合があります。

 

2 殺人罪との関係

殺人の故意(殺意)があった場合には,不同意性交等致死罪と殺人罪が成立することになります。

 

 

第2 弁護活動の例

1 無実を証明する


不同意性交等致死傷行為を行っていないにもかかわらず容疑をかけられて逮捕されてしまった場合は,直ちに弁護士に依頼すれば,弁護士が,逮捕後すぐに逮捕された本人のもとへ接見に向かい,嘘の自白をしないよう取調べについての対応をアドバイス致します。
また,独自の捜査によって,弁解を裏付けるような証拠を収集するとともに,目撃者や客観的な証拠を探し出すことで,被害者の供述が信用できないことを主張します。

 

2 被害者等への謝罪や賠償を行う

不同意性交等致死傷罪は,親告罪ではなく,示談したからといって必ずしも起訴されない訳ではありません。しかし,被害者やその遺族に対して誠実に謝罪し,その被害を回復することは,検察官が起訴するか否かを判断するにあたり重要な要素となります。被害者やその遺族に対する誠実な謝罪や賠償をすることで,被害者やその遺族の被害感情を抑えることができれば,不起訴処分を獲得することも可能になります。

また,身体拘束されている場合には,示談をすることで身体解放の可能性も高まりますので,示談によって早期の職場復帰・社会復帰を図ることもできます。

起訴されてしまった場合でも,被害弁償と示談の有無及び被害者やその遺族の処罰感情が処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して納得のいく示談をすることが重要です。

 

3 取調べ対応及び身柄解放活動


不同意性交等致死傷罪で逮捕されても,取調対応について弁護士からアドバイスを行い,虚偽の自白等を採取されることがないようにする必要があります。

また,逮捕に続く勾留を阻止するためには,逮捕後の早い段階で,弁護士と面会して取り調べ対応を協議し,身元引受人の協力を得ることが大切です。

その上で,弁護士から検察官や裁判官に対して,被害者への慰謝と更生の見込みを主張し,釈放してもらうよう働きかけます。

 

4 裁判員裁判対応

不同意性交等致死傷事件は,裁判員裁判の対象事件になります。裁判員裁判とは,一般の市民の方が職業裁判官と一緒に有罪・無罪及び有罪の場合の刑の重さ(量刑)を決める裁判制度のことです。

裁判員裁判は,一般の方が参加する制度になりますので,専門用語を並べるだけでなく,分かりやすい裁判をする必要があります。また,通常の刑事裁判と異なる手続が多い制度になりますので,手続の面での専門性も問われることになります。弊所では,裁判員裁判も多数経験しておりますので,これらの点についての十分な対応実績があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,不同意性交等致死傷事件を起こされてお困りの方に対して,刑事事件を中心に取り扱う弁護士が直接無料相談いたします。また,身体拘束されている方のために初回接見サービスもご用意しております。ぜひ一度お問い合わせください。

 

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