【報道解説】保護者による乳児の死体遺棄事件

2022-04-27

【報道解説】保護者による乳児の死体遺棄事件

死体遺棄罪保護責任者遺棄致死罪の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

令和4年4月19日昼すぎに、神奈川県川崎市中原区にあるマンションのゴミ集積場で、乳児が置かれているのを清掃員が見つけて警察に通報した。
警察によると、見つかったのは男の子で、すでに死亡していた。
警察は男の子の身元の確認を進めるとともに、死体遺棄事件として、防犯カメラの映像を解析するなどして捜査している。
(令和4年4月19日に配信された「NHKニュース」より抜粋)

【遺体を遺棄する行為による刑罰とは】

遺体をゴミ集積場に遺棄する行為」については、刑法の「死体遺棄罪」に当たるとして、「3年以下の懲役」という法定刑の範囲内で、刑事処罰を受けます。
この場合の「遺棄」とは、社会風俗上の埋葬とは認められない方法によって遺体を放棄することをいいます。

・刑法 第190条
「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」

【乳児を死なせてしまった行為による刑罰とは】

乳児を死なせてしまった行為」については、乳児の保護者の具体的な行為態様に応じて、「保護責任者遺棄致死罪」「保護責任者不保護致死罪」「殺人罪」等のうち、いずれかの刑罰を受ける可能性が考えられます。

保護責任者遺棄罪」や「保護責任者不保護罪」とは、親などの保護責任者が、乳児などの要保護者を、置き去りにしたり、生存に必要な保護をしなかった場合に、成立する犯罪です。
置き去りや不保護の結果として、要保護者が死亡してしまった場合には、「保護責任者遺棄致死罪」や「保護責任者不保護致死罪」に当たるとして、刑罰の法定刑は「3年以上の懲役」と重くなります。

・刑法 第218条
「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。」

死亡の結果について、保護責任者に死亡させる故意が無かった場合には、「保護責任者遺棄致死罪」や「保護責任者不保護致死罪」が成立すると考えられます。
他方で、保護責任者に「殺人の故意」があったり、あるいは「乳児を放置したままだと、死んでしまうかもしれないが、それでも構わない」といったような「未必の故意」があった場合には、不作為(何もしないこと)による「殺人罪」が成立する可能性も考えられます。

【死体遺棄罪、保護責任者遺棄致死罪の弁護活動】

死体遺棄罪保護責任者遺棄致死罪などで、警察の捜査が開始された場合には、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要となります。
警察取調べでの厳しい尋問が予想される中で、事件を認める供述をするのか、否認する供述をするのか、どのようなことがあったと供述するかを、事前に弁護士と詳細な打合せをする必要があります。

容疑者が逮捕されて、身柄拘束がなされた上で、警察取調べが長期にわたって続くことも考えられるため、刑事事件に強い弁護士が、頻繁に留置場での逮捕者との接見(面会)に向かい、事件対応を弁護士ととともに検討することが、早期釈放や刑事処罰の軽減のためには重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件法律事務所では、まずは逮捕当日に、逮捕されている警察署への弁護士接見(面会)を行い、弁護士事務所にて、ご家族の方への接見報告をする流れとなる、初回接見サービスのご依頼も承っております。

死体遺棄事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。