【報道解説】18歳の少年らが器物損壊罪や傷害罪で逮捕

2022-07-02

【報道解説】18歳の少年らが器物損壊罪や傷害罪で逮捕

高校生の少年らが器物損壊罪傷害罪の疑いで逮捕された事例とその法的責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道紹介】

「大阪・ミナミにあるグリコの看板の下、いわゆる「グリ下」で出会った少女に暴行を加えたとして大阪府内に住む男子高校生らが逮捕されました。
傷害器物損壊などの疑いで逮捕されたのは大阪府内に住む男子高校生(16)と無職の少年(18)です。
男子高校生らは、今年5月に大阪市中央区の路上で京都府に住む中学3年の女子生徒(当時14)のバッグに火のついたタバコを押し付けたり、女子生徒の頭を踏みつけるなどの疑いが持たれています。

(7月14日にMBSNEWSで配信された報道より引用)

【18歳の人が事件を起してしまうと…?】

他人のバッグに火のついたタバコを押し付ける行為は、刑法261条に定める器物損壊罪に当たり得る行為ですし、人の頭を踏みつける行為は、刑法204条に定める傷害罪に当たり得る行為です。
報道では、16歳と18歳の少年がそのような器物損壊罪傷害罪に当たり得る行為をした疑いがあるため逮捕されたとあります。
このように事件を起こした少年少年法が適用されることになりますので、通常の刑事手続とは異なる手続で事件が進んでいくことになります。

16歳の少年については未成年者ですので少年法が適用されるということに疑問がないかと思いますが、18歳の少年は未成年者ではないことから、少年法が適用されないのではないかと思われる方がいるかもしれません。
たしかに、今年の4月から民法が改正されて成人年齢が18歳に引き下げられましたので、18歳は未成年者ではなく成人として扱われることになりましたが、少年法における「少年」とは、20歳に満たない人のことをいいますので(少年法2条1項)、18歳の人が事件を起こした場合は、これまで通り少年法が適用されることになります。

【少年事件の場合の示談について】

20歳以上の人が器物損壊罪傷害罪にあたる行為をしてしまった場合は、被害者の方との示談をすることが重要になります。

器物損壊罪告訴がなければ事件を起訴することができない親告罪という犯罪ですので(刑法264条)、被害者の方と示談を締結して告訴を取り下げてもらえば、器物損壊罪について起訴されることはありません。

傷害罪親告罪ではありませんが、傷害罪についても示談を締結して被害者の方に事件について許してもらうことができれば、起訴を回避する可能性を高めることができるでしょう。

このように20歳以上の人が事件を起した場合には、示談締結の事実は起訴を回避する可能性を高めて、事件の早期解決へとつながることになりますが、少年事件の場合には、検察官は事件を起訴するかどうかの権限を持たず、家庭裁判所に事件を送致するしかないですので、被害者の方との示談締結を理由に、検察官が事件を家庭裁判所に送致しないという判断をすることはありません。

しかし、だからといって、少年事件において被害者の方との示談が全く意味がないと言う訳ではありません。
事件の送致を受けた家庭裁判所は、自ら事件について調査を開始して、少年審判を開始するかどうか、少年審判を開始した場合の最終的な少年に対する処分をどうするかといったことを判断することになります。
このような中で、被害者の方と示談交渉を行うことで、少年が自身が犯した罪に向き合い、被害者の方の立場に立って真摯に反省して、その態度を家庭裁判所に示すことができれば、少年審判において有利な事情として働き、少年に対する処分を軽くすることにつながります。
そのため、少年事件の場合でも被害者の方との示談は有効なものと言えるでしょう。

【お子さんが傷害事件・器物損壊事件を起して逮捕されてしまったら…】

20歳に満たないお子さんが、傷害事件器物損壊事件を起して警察に逮捕されてしまったら、まずは弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
少年事件は通常の刑事手続とは異なるところがありますし、また少年審判にあたっては保護者の方の協力も必要不可欠となります。
この初回接見を通して、事件の見通しや今後の流れについて接見に向かった弁護士から直接説明してもらうことができますので、保護者としてお子さんが起こした事件についてどのように向き合えばよいか、心構えができるようになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件のみならず、少年事件も専門に取り扱う法律事務所です
お子さんが傷害事件器物損壊事件を起こしてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。