【事例解説】歩行中にぶつかった相手を恐喝したとして男を逮捕(後編)
横断歩道を歩行中にぶつかってきた相手を恐喝した男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
・事件概要
京都府山科警察署は、自営業を営む男性A(38)を恐喝罪の疑いで逮捕しました。
Aは、横断歩道を歩いている際に、反対側から走ってきた男性V(28)にぶつかられ、その衝撃でAの手に持っていたスマートフォンが落下し、画面がひび割れてしまいました。
Aは「ちょっと待てよ!」とVを呼び止めましたが、Vは信号が黄色に変わったため急いで横断歩道を渡り始めました。
Aは、Vが逃げようとしていると勘違いし、追いかけてVを捕まえて胸ぐらを掴み、「スマホの修理代として5万円を支払え!払わないなら殺すぞ」と脅迫し、Vから現金5万円を受け取りました。
目撃者の通報を受けて現場に駆け付けた山科警察署の警察官により、Aは逮捕されました。
取り調べに対し、Aは「自分のスマホが壊れて腹が立った」と供述し、犯行を認めています。
(フィクションです。)
・できるだけ早く弁護士に相談を
本件でAはカッとなってやってしまったと言っていますが、恐喝罪の法定刑は十年以下の懲役ですから、刑法の犯罪の中でも重たい犯罪です。
執行猶予がつくためには、下される量刑が三年以下であることが必要ですが、恐喝罪の法定刑は上述の通り十年以下の懲役ですから、執行猶予がつかない可能性もあります。
仮に執行猶予がつかず実刑判決が下った場合、刑務所に拘束されるため、今後の生活に大きな影響を及ぼします。
したがって、刑務所での拘束を避けるためには、下される量刑を三年以内に抑え、執行猶予付判決を得る必要があります。
下される量刑を抑えるには、被害者との間で示談を成立させることが重要です。
しかし、本件のように、脅迫された被害者からすると、加害者とは関わりたくないと思う可能性が高いため、示談交渉は困難です。
そこで、交渉のプロである弁護士に依頼することをおすすめします。