土下座を強要し逮捕

2020-04-11

土下座を強要し逮捕

今回は、飲食店店員に土下座を強要し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、京都市下京区内の飲食店で食事をしていたところ、値段に見合った味でないことに腹を立て、責任者を呼び出しました。
Aさんは責任者に対し、「おい、高い金とってこんな料理出すことはないだろ。誠意を見せろ。こういう時やることがあるだろう、土下座だ」などと大声で迫り、イスを蹴り飛ばすなどして土下座を要求しました。
責任者は恐怖を感じ、仕方なく土下座をしましたが、他のお客さんの通報で駆け付けた京都府下京警察署の警察官により、Aさんは強要の疑いで現行犯逮捕されてしまいました(フィクションです)。

~強要罪について解説~

強要罪とは、相手やその親族の生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する犯罪です(刑法第223条1項・2項)。
上記の脅迫・暴行をしたが、人に義務のないことを行わせたり権利の行使を妨害するに至らなかった場合も、未遂犯として罰せられます(同条3項)。

Aさんは、イスを蹴り飛ばすなどして責任者を怖がらせ、土下座をさせています。
この事実関係によれば、脅迫や暴行を用いて、人に義務のないことを行わせたものということができると考えられるので、Aさんに強要罪が成立する可能性は高いと思われます。

強要罪の法定刑は、3年以下の懲役となっています。

~刑事事件の手続きの流れ~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

起訴されると、刑事裁判が始まることになります。

~早期の身柄解放を実現~

早期の身柄解放を実現するためには、早期に弁護士に依頼することが重要です。
Aさんの身体拘束が長引く要因は勾留されてしまうことにあります。
早期に弁護人を選任すれば、検察官や裁判官に勾留の要件を満たさないことを訴えかけ、勾留をしないように働きかけることができます。
勾留されてしまった場合にも、準抗告と呼ばれる不服申し立てなどを行い、釈放を求めることができます。

さらに、被害者と示談を成立させることにより、勾留前であれば勾留されない可能性、勾留後であっても、釈放される可能性を高めることができます。
釈放されれば、普段通りに会社へ出勤することができるので、無断欠勤を続けてしまった日数、周囲の状況、報道の有無にもよりますが、会社に逮捕されたことを知られずにすむことも考えられます。

~不起訴処分の獲得~

Aさんが単に責任者を土下座させてしまった、というだけであれば、円満な示談を成立させることにより、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
不起訴処分を獲得できれば、前科を付けずに事件を解決することができます。
今回は大目に見てもらうということです。

より良い事件解決を目指して、一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が強要事件などを起こして逮捕された、取調べを受けたといった場合にはぜひご相談ください。