Archive for the ‘事例紹介’ Category
【事例解説】タクシーの運転手を殴った後料金を支払わずに逃走(前編)
タクシーの運転手を殴ったあと、料金を支払わずに逃走したとして、強盗致傷の容疑で捜査された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
自営業のAさんは、タクシーに乗車し、目的地に着いた際に運転手から、「次からはこんな短い距離なら乗せないからな」と言われたことにイラついて口論になった結果、激昂し運転手を殴りつけ、運転手がひるんでいる間に、乗車料金1千円を支払わず逃走しました。
運転手からの110番通報によって事件が発覚し、その後、Aさんは、強盗致傷の容疑で、逮捕されました。
Aさんに殴られた運転手は顔を打撲するなどの傷害を負っているようです。
(フィクションです。)
強盗致傷罪について
人に対して暴行すれば「暴行罪」が、そして暴行によって怪我をさせれば「傷害罪」となりますが、それにとどまらず、暴行行為によって、財産上不法の利益を得ると「強盗罪(刑法第236条2項)」となります。
さらに、その際に相手に怪我を負わせると「強盗致傷罪(刑法第240条)」となります。
今回の事件の場合、暴行(傷害)によってタクシー料金の支払を免れたということで、刑法でいうところの「財産上不法の利益を得た」ということができ、強盗致傷罪が成立する可能性が高いでしょう。
なお、暴行や脅迫をともなわない、単なるタクシーの乗り逃げであれば「詐欺罪(刑法第246条2項)」となります。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件事件を起こしてしまった方からの法律相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は フリーダイヤル0120-631-881にて、24時間、年中無休で受け付けております。
少しでも不安だと感じておられるのであれば、まずは気軽にお問合せください。
【事例解説】高校でのサッカー部の後輩に対する暴行事件
高校のサッカー部の後輩に対して暴行した事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事例
サッカーの強豪校で、先輩部員から後輩部員への暴行事件が起こりました。
サッカー部に所属する高校3年生のAは後輩部員V1,V2,V3に対して、指導という名目で殴る蹴るなどの暴行を加えたとして、警察はAを暴行容疑で逮捕しました。
V1らは助けを求めて最寄りの警察署に被害届を提出したことで、事件が発覚しました。
警察はサッカー部の他の部員等にも聞き取りをして、暴行が常態化していたかどうか調べているようです。
(フィクションです。)
・暴行罪と傷害罪
本件では、Aが複数の後輩に対して、指導という名目で殴る蹴る等の暴行をしたようです。
Aの当該行為が、暴行すなわち人の身体に対する不法な有形力の行使にあたる場合には暴行罪(e-GOV法令検索)が成立します。
さらに、暴行により被害者が出血したような場合には、人の生理機能を侵害したとして傷害罪(e-GOV法令検索)が成立します。
暴行罪の多くの場合においても、身体に対して不法な有形力の行使があった以上、厳密に言えば(微細な内出血など)何らかの生理機能が侵害されていると言えそうですが、実際には、被害者側の怪我の病院診断書が、警察に提出されているかどうかがにより暴行罪になるか傷害罪になるかの分かれ目になることが多いです。
暴行罪の法定刑が「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」であるのに対し、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と重くなっていますから、どちらの罪が成立するかは大きな違いを生みます。
・暴行罪事件の弁護活動
暴行罪または傷害罪に当たるような行為をしてしまった場合、被害者側と示談を成立させるなどして、被害届を取り下げてもらったり、病院診断書の提出を控えてもらうことができるかどうかが重要となります。
ただし、加害者側の人間が直接被害者側と示談交渉を進めることが得策ではありません。
本件のように、被害者が未成年である場合には、被害者側の交渉主体は保護者となります。
保護者は本人以上に、加害者に対して強い処罰感情を有している可能性がありますから、示談交渉自体を拒絶される可能性もあります。
そこで、刑事事件に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
豊富な示談交渉の経験のある弁護士が被害者側との示談交渉を行うことで、被害届の取下げ等の、加害者を許す意思を含む示談を成立させ、不起訴処分や刑罰軽減につながるかもしれません。
暴行事件や傷害事件を起こしてしまった場合、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
体罰暴行事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。
【事例解説】口論から傷害事件に発展
口論から殴り合いの喧嘩になり、相手をケガさせて傷害事件となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事例
Aさんは、駅の構内で反対方向から歩いてきた男性Bの肩がぶつかり口論になりました。
相手が一向に謝罪しないため、AさんがBさんの胸辺りを強く押したところ、Bさんが転倒し、顔面を強く打って出血しました。
駅の利用者が上記のトラブルを目撃して警察に通報し、駆け付けた警察官に2人は署まで連れて行かれ、取調べを行ったあと、後日また呼び出すということで2人の身柄を解放しました。
・傷害罪
刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)。
例えば、人をバットで殴って出血させた場合がこれにあたります。
本件では、AさんはBさんを殴って、道路上で転倒させた結果、Bさんは出血したようです。
したがって、本件では、傷害罪が成立する可能性があります。
・弁護士に相談を
傷害罪は被害者のいる犯罪ですから、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
仮に、早期に示談を成立させることができれば、不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分となれば、前科がつくこともありません。
仮に、起訴されたとしても、示談が成立していれば、刑の減軽や執行猶予付き判決が得られる可能性があります。
刑事事件の被害者は通常、加害者に対して強い処罰感情を有しています。
そのため、加害者が被害者と直接連絡をとろうとしても拒絶される可能性があります。
そこで、示談交渉は弁護士に一任されることをおすすめします。
加害者と直接連絡をとることに強い抵抗感をもつ被害者であっても弁護士相手であれば、示談交渉に応じてくれる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
傷害事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行(後編)
喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行を加えた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aは、繁華街で友人らと食事をした後に商店街を歩いていると、通行人Vと肩がぶつかって口論のあと殴り合いになり、周囲が警察に通報しました。
到着した警察の対応に苛立ったAは、酒に酔っていたこともあり、警察官を殴ってしまいました。
(フィクションです)
後編では警察官を殴ったことについて解説いたします。
3 公務執行妨害罪について
公務執行妨害罪は刑法第95条第1項に規定されており、
「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」とされています。
刑法の公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を過度に保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、「公務員」である警察官が通報に駆け付けて公の秩序を維持するというという「公務を執行」をしており、それに対してAさんは殴りかかるという「暴行」を加え公務の円滑な遂行を妨害しています。
以上より、Aさんには公務執行妨害罪が成立することが考えられます。
4 身体拘束からの解放に向けた弁護活動
公務執行妨害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身体拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は家族や友人など外部との接触を制限され一人きりとなる、留置施設で一挙手一投足を監視・規制される環境に身を置くことになるなど、被疑者が感じる不安やストレスは相当なものであると考えられます。
また、勾留による身体拘束中は、職場に出勤したり、学校に登校したりすることができなくなります。
仮に23日間も職場を無断で欠勤すれば、職場から解雇される可能性が極めて高く、身柄拘束前の社会生活を送ることが難しくなるでしょう。
このように、勾留による身体拘束にはさまざまな不利益が生じることが考えられるため、少しでも早く被疑者を身体拘束から解放することが重要となります。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定の場合、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、これらの要件を否定し得る客観的な証拠を収集・主張していくことで、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
例えば、被疑者が定職に就いている、家族と同居している、身元引受が有るなどの事情は、被疑者の逃亡のおそれを否定する方向に働くため、それを書面にして証拠化すれば、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の身体拘束からの早期解放を目指します。
5 まずは弁護士に相談を
ご家族等が暴行罪・傷害罪や公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が暴行罪や傷害罪、公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行(前編)
喧嘩の通報で駆け付けた警察官に暴行を加えた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aは、繁華街で友人らと食事をした後に商店街を歩いていると、通行人Vと肩がぶつかって口論のあと殴り合いになり、周囲が警察に通報しました。
到着した警察の対応に苛立ったAは、酒に酔っていたこともあり、警察官を殴ってしまいました。
(フィクションです)
前編では通行人に対する暴行について解説いたします。
1 暴行罪・傷害罪
まずAのVに対する暴行罪もしくは傷害罪の成立が問題となります。
事の転機となった、通行人とすれ違いざまに肩がぶつかるということについては、繁華街や狭い商店街の通路などではわざとでなくとも十分ありえることですし、酔ってフラフラしている状態であればなおさらですのでそれ自体は犯罪になりません。
ただし意図的であれば肩をぶつける程度でも十分暴行罪に該当し得ます。
その後、口論のあとに殴り合いになったとのことですが、どちらが先に殴った、あるいはこちらは全く殴っていない、などと弁解するようなケースもあります。
相手が襲いかかってきたので反撃したというような主張であれば、正当防衛の成否が問題となります。
取調べにおいて例えば正当防衛を主張するとなった場合、事件によっては高度な法律的判断が求められますので、あらかじめ弁護士にアドバイスをもらうことが非常に有益です。
正当防衛などではなく、単に腹が立ったので殴ったというような場合は暴行罪が成立します。
それによって相手が「傷害」の被害が発生していれば、暴行罪ではなく傷害罪として立件されるでしょう。
たとえば治療を要する打撲傷や裂傷などがはっきりした傷害といえるようなものがあれば、より重い傷害罪として捜査される可能性があります。
暴行罪は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定められていますが、傷害罪はより重く、その法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
2 まずは弁護士に相談を
ご家族等が暴行や傷害罪、公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご連絡ください。
逮捕・勾留されると、被疑者段階で最長23日間、身体拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は家族や友人など外部との接触を制限され一人きりとなる、留置施設で一挙手一投足を監視・規制される環境に身を置くことになるなど、被疑者が感じる不安やストレスは相当なものであると考えられます。
また、勾留による身体拘束中は、職場に出勤したり、学校に登校したりすることができなくなります。
仮に23日間も職場を無断で欠勤すれば、職場から解雇される可能性が極めて高く、身柄拘束前の社会生活を送ることが難しくなるでしょう。
このように、勾留による身体拘束にはさまざまな不利益が生じることが考えられるため、少しでも早く被疑者を身体拘束から解放することが重要となります。
上記の通り、殴り合いといっても、事件によって状況は様々であり、正当防衛などの例が分かりやすいように法的知識を踏まえた上で取調べに臨むことで、その後の処分に大きな差がつくこともあり得ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が暴行罪・傷害罪・公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】女性に抱きついて逮捕 暴行と不同意わいせつ(後編)
ライブ会場を出たアイドルに背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aは、好きなアイドルがライブをしている会場で待ち伏せし、アイドルが会場出てきたところに背後から抱きつきました。
Aはその場でスタッフらに取り押さえられ、警察に引き渡されました。
警察の調べに対し「ハグしただけで暴行はしていない」と供述し、暴行罪の容疑を否認しているようです。
(フィクションです。)
【今後の流れ】
Aは暴行の疑いで逮捕されていますが、抱きつき行為の目的や、その具体的な状況次第によっては、暴行事件ではなく、不同意わいせつ事件や未遂事件として手続きが進んでいく場合もあり得ます。
不同意わいせつ罪の法定刑には罰金が定められていませんので、仮に検察官が事件を不同意わいせつ事件として起訴した場合に必ず正式な裁判が開かれることになります。
従って、暴行罪よりも不同意わいせつ罪のほうが重い犯罪であるといえますので、事件が暴行事件として処理されるのか、不同意わいせつ事件として処理されるのかはその後の手続が大きく異なる可能性があります。
そのため警察の取り調べにおいては、取り調べを担当する警察官の誘導に引っかかって、抱きつき行為が不同意わいせつ罪に当たるようなものであったと虚偽の自白してしまわないよう、取調べには十分注意して臨む必要があります。
警察署の取調室という密室で、取調べのプロである警察官を相手に虚偽の自白を行わないようにするためには、事前に弁護士に相談して警察での取調べ等の対応についてアドバイスを得ておくことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱きついて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】女性に抱きついて逮捕 暴行と不同意わいせつ(前編)
ライブ会場を出たアイドルに背後から抱きついたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aは、好きなアイドルがライブをしている会場で待ち伏せし、アイドルが会場出てきたところに背後から抱きつきました。
Aはその場でスタッフらに取り押さえられ、警察に引き渡されました。
警察の調べに対し「ハグしただけで暴行はしていない」と供述し、暴行罪の容疑を否認しているようです。
(フィクションです。)
【抱きつきは暴行罪?】
今回の事件では、逮捕された男性が警察の取り調べにおいて「ハグをしただけで暴行はしていない」と供述しているようです。
刑法208条が規定する暴行罪は、殴る蹴るなどの暴力行為をした場合に成立する犯罪だと思われている方がいるかもしれませんが、後ろから女性に抱きつく(ハグをする)行為は暴行罪に当たる行為になりますので、逮捕されたAには暴行罪が成立する可能性が高いと言えます。
ちなみに、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料となっています。
【不同意わいせつ罪は?】
抱きつく(ハグをする)行為は刑法176条の不同意わいせつ罪ではないのかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、見知らぬ女性に抱きつく(ハグをする)という行為は、場合によっては不同意わいせつ罪や、その未遂罪が成立する可能性があります。
不同意わいせつ罪とは、次に掲げる行為や事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をすることを処罰するとしています。
具体的な行為や事由として、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害を生じさせること等」、「アルコールやは薬物を摂取等」、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態の利用」、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない」、「予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させること」、「虐待に起因する心理的反応」、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益」の8項目が列挙されています。
不同意わいせつ罪が成立すると、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑が科されます。
そのため、被害者の反抗を著しく困難にする程度に抱きついたという場合は刑法176条の不同意わいせつ罪における「暴行」に当たることになりますので、そうして抱きついた上で、被害者の胸や下半身をまさぐったり、無理やりキスをしたりなどのわいせつな行為をした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いと考えられます。
このように、抱きつき行為が具体的にどのような態様であったのか、抱きついた後に被害者に対して行った行為がどのようなものであったか、どのような目的で抱きついたのか等の事情によっては、不同意わいせつ罪や未遂罪が成立する可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
人に抱きついて暴行罪や不同意わいせつ罪等の疑いで警察の捜査を受けてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。
【事例解説】傷害の共犯として逮捕
傷害の共犯として逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは会社の同僚Vさんの仕事のミスを指摘したところ反抗的な態度を取られたためVさんのことを不満に思っていました。
Aさんが同僚Bさんと些細な話をしていたところ、同じくBさんもVさんに対して不満を抱えていることが分かりました。
ある日、BさんからVを痛めつけてやりたいから手伝ってくれないかと持ち掛けられたAさんは承諾し、Vさんに対して暴行を加えるための作戦を考えました。
AさんとBさんは、Vさんが仕事終わり自宅まで帰っているところを目出し帽を被ったBさんが襲撃して、Aさんは周囲に人が来ないように見張りをするという作戦をたてて実行しました。
後日防犯カメラの映像からAさんとBさんが特定され、2人は逮捕されました。
Aさんは、自身が暴行行為をしていないのに傷害の容疑がかけられていることに納得していません。
(フィクションです。)
傷害罪について
人を殴って怪我をさせれば傷害罪となります。
傷害罪は刑法第204条に規定されている犯罪行為で、その法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すればこの法定刑内の刑事罰が科せられますが、実際にどういった刑事罰が科せられるのかは、動機や、行為態様、被害者の怪我の程度等によって異なり、被害者に対して謝罪や賠償ができている場合は処分が軽くなるでしょう。
共謀共同正犯について
Aさんは自分は暴行行為をしていないと主張しているようですが、実際の暴行行為に加わっていなかったとしても
①共謀が行われている
②共謀に基づいて実行行為が行われている
の2つの要件を満たせば、共犯として扱われて、行為者と同じ扱いを受けることになります。
Aさんの場合、事前にBさんと作戦を立てて、それを実行しています。
共謀があったと言えるためには、正犯意思や意志連絡が必要になりますが、事例のAさんの場合共謀共同正犯として傷害罪の適用を受ける可能性が高いでしょう。
共犯事件を扱っている法律事務所
警察や検察は共犯の認定に対してとても慎重に捜査をする傾向にあり、取調べの段階でどういった対応をするかによって、共犯として認定されるかが左右される場合もあるので、共犯事件で警察の捜査を受けている方は、一刻も早く弁護士に相談することをお勧めします。
共犯事件でお困りの方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例解説】暴行の容疑で男が逮捕(前編)
暴行の容疑で男が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
ある日の夜、Aの妻の自宅に警察から電話があり、「ご主人さんのAを暴行罪で逮捕した」と伝えられました。
Aの妻は、Aは優しく温和な人柄なのに、他人に暴力を振るったということが信じられませんでした。
暴行罪とはいったいどのようなものなのでしょうか?
(フィクションです)
暴行罪について
暴行罪については、刑法第208条(出典/e-GOV法令検索)で、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されています。
ここでいう「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいうとされています。この定義だけでは分かりにくいですが、とても広い範囲の、多岐にわたる行為が「暴行」に当たり得ます。
殴る,ける,突く,押す,投げ飛ばすなど,身体への接触を伴う物理力を行使する行為は、暴行罪の典型といえます。たとえば、道端で激しい口論となった相手の肩を軽く押す、などでも暴行罪になり得てしまいます。
また、人の身体に直接接触しなくとも「暴行」と判断されるケースもあります。
例えば、人に向かって石を投げる行為や、バットを振り回す行為などは、相手の身体に触れなくても暴行になり得ますし、唾を吐きかけたり、塩を頭に振りかけたりするような行為でも暴行になり得ます。
暴行は、傷害を負わせるような態様のものでなくともよく、相手の五官に作用して不快ないし苦痛を与える性質のものであれば足りるとされているのです。
ちなみに、暴行の結果、相手に傷害を負わせた場合は、暴行罪よりも重い傷害罪となります。
つまり、Aさんの行ったとされる暴行は、相手に傷害を負わせていない可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件・少年事件を扱っている法律事務所です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、暴行罪で逮捕されてしまった方に対して、弁護士による即日の初回接見のサービスを行っております。その他、お困りの方に対しても、弁護士との無料相談もお受けしております。
無料相談・初回接見の申込はフリーダイヤル0120-631-881で24時間お電話受付中です。
【事例解説】歩行中にぶつかった相手を恐喝したとして男を逮捕(前編)
横断歩道を歩行中にぶつかってきた相手を恐喝した男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
・事件概要
京都府山科警察署は、自営業を営む男性A(38)を恐喝罪の疑いで逮捕しました。
Aは、横断歩道を歩いている際に、反対側から走ってきた男性V(28)にぶつかられ、その衝撃でAの手に持っていたスマートフォンが落下し、画面がひび割れてしまいました。
Aは「ちょっと待てよ!」とVを呼び止めましたが、Vは信号が黄色に変わったため急いで横断歩道を渡り始めました。
Aは、Vが逃げようとしていると勘違いし、追いかけてVを捕まえて胸ぐらを掴み、「スマホの修理代として5万円を支払え!払わないなら殺すぞ」と脅迫し、Vから現金5万円を受け取りました。
目撃者の通報を受けて現場に駆け付けた山科警察署の警察官により、Aは逮捕されました。
取り調べに対し、Aは「自分のスマホが壊れて腹が立った」と供述し、犯行を認めています。
(フィクションです。)
・恐喝罪とは
刑法第249条(出典/e-GOV法令検索)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
本件で、AはVに対して「スマホの修理代として5万円を支払え」と脅して現金5万円を受け取っており、このAの行為は恐喝罪に該当する可能性があります。
まず、恐喝罪にいう恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を指します。
本件で、Aは「スマホの修理代を支払わないと殺すぞ」と言ってVを怖がらせておりこれは財物交付に向けられた脅迫に該当します(①)。
次に、Aの行為は、Vの反抗を抑圧するに至らない程度と言えるでしょうか。
仮に、反抗を抑圧する程度の脅迫に該当した場合、恐喝罪ではなく強盗罪の成否が問題となります。
例えば、ナイフなどの凶器を用いて脅迫した場合、要求に応じないと命の危険があるため、金品を差し出すしかありません。
このような場合、反抗を抑圧する程度の脅迫に該当し、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
本件では、Aは「スマホの修理代を支払わないと殺すぞ」と脅しましたが、凶器を用いたわけではありませんので、反抗を抑圧する程度の脅迫とは言えないでしょう。
したがって、Aの発言は恐喝に該当します(②)。
以上より、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。