【事例解説】バーの店主を脅迫したとして男が逮捕 

2024-09-16

バーの店主を脅迫したとして男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

けんか

事例

Aさんは、バーで一人で飲んでいたところ、異性の客がいたので気を良くし、その客に執拗に話しかけていました
客が嫌がっていたのを察した店主のVは、Aに退店を命じたところ、酔いが回っていたAは逆上して、店主Vに対して罵詈雑言を浴びせました。 
怒りが収まらないAは、「この店どうなってもええんか」「俺の連れに悪いやつがいてな」「火事で店無くなったりせんとええな」などといいました。
Aさんが店を後にして直ぐに店主Vは警察にこのことを相談し、数時間後にAさんは脅迫の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

脅迫罪について

刑法222条(出典/e-GOV法令検索)に定められている脅迫罪は、人を脅して怖がらせたりすることを防止して、個人の意思決定の自由を守るために設けられています。

被害者本人またはその親族の「生命」「身体」「自由」「名誉」「財産」に対し、危害を加えることを伝える行為が、脅迫行為に当たります。
これを「害悪の告知」といいます。

これら5つのいずれにも該当しないものに対して危害を加える旨を伝えても、基本的に害悪の告知には当たらないと考えられます。
また、危害を与える対象は本人と親族のみに限られています。

仮に相手が実際に恐怖を感じなくても、一般の人を基準として恐怖を感じる程度の害悪の告知であれば、犯罪の実行行為としては十分です。
たとえば「お前がガンになるように毎日祈ってやる」などの内容では、一般の人を基準として恐怖を感じるとまではいえないかもしれません。

加害者の認識についても、その害悪の告知が相手を実際に怖がらせるものかどうかの結果についてまで認識している必要はありません

今回の事例では、激昂したAが、店主Vに対し、悪いツレがいるこの店どうなってもええんか火事が起きないとええな、などと、Vの生命・身体や財産に対しての安全を脅かして不安をもよおすような内容の告知を行っています

このような告知が、一般人を基準として恐怖を感じる程度の害悪の告知に当たるかの判断は、Aの性別や年齢、風貌、客観的な状況などを総合的に考慮されることになります。

害悪の告知に当たると判断されれば、脅迫罪が成立する可能性があります。

罰則は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」で、懲役刑も用意されています。

早めに弁護士に相談を!

懲役刑を避けて罰金刑で済ませたり、執行猶予を付けたりすることができるかどうかは、被害者との間で示談を成立させることができるかが重要となります。

示談交渉は、逮捕されているかどうかに関わらず、ご自分で行うことは望ましくありません

加害者本人が謝罪するために連絡したとしても応じてくれない可能性が高いです。

そこで、示談交渉は弁護士に一任することをおすすめします。
加害者本人ではなくその弁護士が相手であれば、被害者が示談交渉に応じてくれることは珍しくありません。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
ご家族が逮捕されてしまった方など、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。