【事例解説】マンションの自室から通行人に石を投げたとして暴行で逮捕

2025-01-23

マンションの5階から石を投げたとして暴行の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例 

Aさんは、自身が住むマンションの下の道路で、通行人が騒がしくしているのを迷惑に思っていました。 
ある日の夜、Aさんが寝ようとしていたときにも通行人がうるさくしており通行人を驚かせて近づかないようにさせようと思い立ちました。
そこで、Aさんはマンションの自室のベランダからこぶし大の石を、通行人の近くに投げつけました。 
Aさんが投げつけた石は通行人には当たりませんでしたが、いきなり石を投げつけられた通行人は恐怖を感じ警察に被害届を提出しました。
被害者の供述や目撃者の情報から、Aさんが特定されたため、Aさんは暴行の容疑で逮捕されるに至りました。 
(フィクションです。)

暴行罪について

刑法208条において、

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

と規定されています。

暴行罪の暴行って、どこから暴行になるの?と思われる方が多いかもしれません。

暴行」とは
暴行罪では、人の身体に不法な有形力を行使することを「暴行」と定義しています。
一般的には、物理的な力の行使を意味すると言われていますが、人の身体に対する直接的なものでなくても暴行」とされる場合があります。
代表的な暴行行為といえば、殴る、蹴る、突き飛ばす等ですが、人のいる方向に石を投げたり、狭い室内で刃物を振り回すなど、人が脅威に感じることをすれば暴行罪でいうところの「暴行」に該当する可能性があります。

被害者に接触しなくても暴行に当たる? 

物理力が被害者の身体に接触しなかった場合に暴行が成立するかについては、争いがあるものの通説では、被害者に接触しなくても傷害の危険を有する有形力の行使があれば暴行罪は成立するとされています。 
判例においても、投げた石が仮に相手方の身体に触れないでも暴行罪は成立すると述べたものがあります(東京高判昭25.6.10)。
事例の場合では、マンションの自室のベランダから下の通行人に向かって石を投げる行為については、傷害の危険を有する有形力の行使といえる可能性が高く、石が通行人に接触していなくとも暴行罪が成立する可能性が高いと思われます。

暴行事件や傷害事件を起こしてしまった場合、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕当日に、逮捕されている留置場に弁護士を派遣する、弁護士初回接見サービスのご依頼も承っております。
逮捕された方への弁護士の派遣、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。