【事例解説】スポーツバーでグラスを投げた大学生を傷害で逮捕(前編)
スポーツバーで相手チームのファンに煽られグラスを投げた大学生が傷害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
・事件概要
横浜警察署は、横浜市内のスポーツバーで傷害事件を起こした大学生Aを逮捕しました。
事件は、Aが横浜市内のスポーツバーで友人たちと野球の試合を観戦していた際に起きました。
Aは自分の応援しているチームが負けたことにイライラしていましたところ、隣のテーブルにいた勝った相手チームのファンVが、「うちのチームがこの相手に負けるはずがないんだよなぁ」「相手が弱いと面白い試合が見られなくて残念」と煽るような発言をしました。
これに腹を立てたAは、手に持っていたグラスをVに向かって投げつけ、Vの顔に怪我を負わせました。
Vは顔面に切り傷を負い、すぐに救急車で病院に運ばれました。
Aは、通報を受けて駆けつけた横浜警察署の警察官によって、その場で逮捕されました。
取り調べに対してAは、「カッとなってやってしまった。反省している」と容疑を認めています。
(フィクションです)
・傷害罪とは
刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)。
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。
本件では、AはスポーツバーでVに対してグラスを投げつけ、顔面に怪我を負わせており、この行為がVの生理的機能に傷害を加えるものと評価され傷害罪が成立する可能性があります。