【事例解説】課題を見せてもらえず同級生を殴り骨折 高校生を逮捕
課題を見せてもらえなかったという理由で同級生を殴って骨折させた高校生が逮捕された刑事事件・少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・事件概要
岡山県内の高校に通う男子高校生A(16)が、同級生Vの顔を複数回殴って鼻の骨を骨折させるなど全治2ヶ月の怪我を負わせた傷害罪の疑いで、岡山中央警察署に逮捕された。
Aは、数学の提出課題を期限内に提出することができそうにないため、同級生のVに頼んで、1000円でやってもらうことにした。
Vが頼まれた課題を解いてAに渡そうとしたところ、Aが「今金ないから明日払うわ」と言ったため、トラブルとなり、AがVの顔を複数回殴り、Vの鼻の骨が折れるなど全治2ヶ月の怪我を負った。
鼻から血を流しながら自宅に帰ったVを見た両親が警察に被害届を提出した結果、Aが逮捕された。
警察の取調べに対し、Aは、「金を払いたくなかった。Vが金と同時じゃないと渡さないと言い出したので、カッとなって殴ってしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)
・傷害とは
刑法204条(出典/e-GOV法令検索)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、人の身体を「傷害」する犯罪です。
判例によれば、傷害とは人の生理的機能に障害を加えることです(大判明治45年6月20日)
例えば、相手を殴って出血させたり、骨折させたりする行為は、人の生理的機能に障害を加えることにあたり、傷害罪が成立する可能性があります。
本件では、Aは自分の課題をVに説いてもらったものの、約束の1000円を支払わなかったことでトラブルになり、Vに暴行を加えて鼻の骨を折る怪我を負わせたようです。
鼻の骨を折るというAの行為は人の生理的機能に障害を加えることにあたりますから、Aには傷害罪が成立する可能性があります。
・できるだけ早く弁護士に相談を
本件Aは16歳の高校生ですが、Aのした行為は傷害罪という立派な犯罪です。
加えて、本件Vは鼻の骨を折られて全治2ヶ月と診断されたようです。
警察は、被害者の怪我が比較的重症であることから、在宅ではなく逮捕に踏み切ったようです。
Aは20歳未満ですから、少年事件として事件は処理されて行くことになりますが、基本的には大人が傷害事件を起こしたときと同じ扱いとなります。
したがって、逮捕による身柄拘束は最大3日ですが、それに引き続き勾留という形でさらに10日間身柄拘束される可能性があります。
突然逮捕されると、家族などの親しい人たちから切り離されてしまい、大人であっても不安な気持ちになりますから、できるだけ早く弁護士を派遣されることをおすすめします。
逮捕された人とご家族が面会することは制限されることが多いですが、弁護士であれば基本的にいつでも接見することができます。
ご家族からの伝言も弁護士を通じてお伝えすることができます。
法律のプロである弁護士が、刑事手続の流れや、事件内容を踏まえて今度の見通しを説明することで、孤独で不安な気持ちを和らげることができるかもしれません。