犬に噛ませて暴力犯罪で刑事事件化
犬に噛ませて暴力犯罪で刑事事件化
【刑事事件例】
東京都府中市在住の年金受給者Aさんは、犬を連れて公園を散歩していたところ、通行人Vさんから、犬のしつけが悪いと注意をされたため、カッとなってVさんに対して犬をけしかけました。
Aさんは犬がVさんを押し倒したところで犬を制止して立ち去りましたが、後日、警視庁府中警察署から、Vさんに対して暴行罪の被害届が提出されているとして警察署まで出頭してほしいと連絡がありました。
Aさんは犬をけしかけた行為で刑事責任を負うことになるのか不安となり、警察署に出頭する前に刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
【飼い主が負いうる刑事事件リスク】
一般社団法人ペットフード協会によれば、平成29年における犬の飼育頭数は892万頭で、約5万5千世帯が犬を飼育しています。
犬が人に噛みついたり、飛びかかったりすることは実際には珍しくなく、今年3月18日、猟犬の飼い主の男性がイノシシ猟をしていたところ、猟犬4頭のうち2頭が逃げ出し、その後、徳島市の自宅敷地内で遊んでいた小学生の3姉妹に次々とかみついたという事件がおきました。
これにより10歳の女児が両脚と右腕に重傷を負い、他の2人は足などに軽傷を負ったとのことです。
一般的に、飼い犬が他人を噛んで負傷させてしまった場合、民事上の損害賠償責任を負いますが、同時に刑事責任を負う可能性があります。
故意に飼い犬をけしかけて人を負傷させた場合は傷害罪(刑法204条)、犬が人を押し倒す等の暴行を行ったものの傷害に至らなかった場合には暴行罪(刑法208条)が成立する可能性があります。
また、人に対して飼い犬等をけしかける行為や、他人に害を加える性癖のある犬等を正当な理由なく開放する行為は軽犯罪法違反となります(軽犯罪法第12号、第30号)。
さらに故意がなく飼い犬が通行人にかみついてしまった場合でも、その飼い犬の制御について過失が認められる場合で、かつ被害者が被害届や刑事告訴を行った場合には、過失致傷罪(刑法第209条)などの刑事責任を負う可能性もあり得ます。
傷害罪が成立すれば、起訴されて公開の刑事裁判が開かれる可能性があり、罰金刑や実刑判決が下される可能性がありえます。
また、暴行罪や軽犯罪法違反の場合でも、公開の裁判を開かない略式命令などにより、罰金刑の前科がついてしまう可能性があります。
このような刑事事件では、謝罪や被害弁償によって円満な話し合い(示談)がなされれば、民事責任も刑事責任も回避することが期待できるため、刑事事件の示談に経験豊富な弁護士に早期に依頼すると安心です。
飼い犬が他人を噛んで刑事事件化してお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料の法律相談や初回接見サービスのご利用をご検討ください。