過失致死事件で逮捕
過失致死事件で逮捕
過失致死事件で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡市中央区に住んでいるAさんは、自転車を運転している最中、わき見運転をしてしまったことによって歩行者Vさんと衝突してしまいました。
Vさんは衝突した衝撃で転倒し、頭を強く打ってしまいました。
Aさんは急いで救急車を呼びましたが、Vさんはその頭の怪我が原因で、搬送先の病院で亡くなってしまいました。
Aさんは福岡県中央警察署で、過失致死事件の被疑者として逮捕され、取り調べられることになりました。
Aさんの家族は、まさか家族が刑事事件の当事者になるとは思っていなかったため、Aさんの逮捕に大きく動揺しています。
そこでAさんの家族は、逮捕にすぐに対応してくれる弁護士をインターネットで探すと、弁護士に接見を依頼することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・過失致死罪
今回のAさんは自転車事故を起こし、その結果Vさんを死なせてしまっています。
自動車での人身事故の場合には、通称「自動車運転処罰法」という法律に定められている、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪で処罰されることになります。
しかし、自転車事故の場合には「自動車」に対する法律では対応することができませんから、この「自動車運転処罰法」ではなく、態様によって今回のAさんの逮捕容疑でもある過失致死罪などに問われることになります。
刑法210条(過失致死罪)
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
過失致死罪は、簡単に言うと「過失」=不注意によって人を死なせてしまった場合に成立する犯罪です。
例えば、今回のAさんのような自転車事故を考えてみましょう。
Aさんは、わき見運転をしたことでVさんとの事故を起こしてしまっています。
自転車を運転する場合には、当然周囲に注意を配りながら運転することが求められていると考えられます。
ですから、わき見運転をするということはそのすべき注意をせずに運転してしまっていることであるといえます。
そのため、わき見運転はすべき注意をしなかった=「過失」であると考えられます。
Aさんの場合、このわき見運転という「過失」によって事故を起こしVさんを死なせてしまっていることから、「過失により人を死亡させた」といえ、過失致死罪に問われているのでしょう。
なお、過失がより重いと判断された場合には、過失致死罪よりさらに重い、重過失致死罪に問われることにも注意が必要です。
刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
自転車事故の場合、スマホのながら運転などが重過失致死罪となった事例もあるようです。
今回のAさんにそういった事情がある場合、捜査中に容疑がかかった罪名が切り替わる可能性も視野に入れながら弁護活動を進めることになるでしょう。
・過失致死事件の弁護活動
過失で人に怪我をさせてしまった場合に成立する過失致傷罪は告訴がなければ起訴することのできない親告罪である(刑法第209条第1項・第2項)のに対して、過失致死罪は親告罪ではありません。
ですから、過失致死事件では告訴の有無にかかわらず刑事事件化し処罰を受ける可能性があるということになります。
そのため、親告罪のように起訴前に示談をすれば不起訴になると決まるわけではありませんが、当然、過失致死事件では被害者・遺族の方がいらっしゃいますから、謝罪や被害弁償をすることが中心的な弁護活動の1つとなるでしょう。
今回のAさんのように、被害者が知人というわけではない場合には、謝罪のために連絡を取ることも困難であることが多いです。
捜査機関もなかなか当事者同士で連絡を取ることに積極的ではないことが多いため、第三者であり専門家でもある弁護士が間に入ることによって、お互いが安心して交渉を行う手助けとなります。
弁護士が間に入って謝罪・被害弁償についての交渉や示談交渉を行うことで、両者にとって適切な示談を目指すことができます。
その他、再び同じことが起こらないよう、被疑者自身やその家族で具体的な対策を立て、それを証拠化していくことも重要な弁護活動となることが考えられます。
こうした弁護活動は迅速かつ丁寧に行わなければなりません。
刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕から迅速に活動を開始できるよう、24時間お問い合わせを受け付けています。
過失致死事件などの刑事事件の逮捕にお困りの際は、まずは遠慮なくお問い合わせください。