名誉棄損罪と告訴取消し

2020-03-27

名誉棄損罪と告訴取消し

名誉棄損罪と告訴取消しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
大阪市北区に住むAさんは長年交際していたVさんから突然の分かれを告げられたため、報復するつもりでSNSの掲示板にVさんに対する誹謗中傷する事実を掲載したところ、大阪府曽根崎警察署名誉棄損罪で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は名誉棄損に詳しい弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~名誉棄損罪~

近年は、ツイッター、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSで誰でも簡単に、しかも匿名でも書き込みできる時代です。
ですから、自分の投稿が名誉棄損罪にあたり警察沙汰になるなど思わぬ事態に発展する可能性も考えられます。
そこで今回は名誉棄損罪について詳しく見ていきましょう。

名誉棄損とは、文字通り、他人の名誉を傷つけることをいいます。名誉棄損を行うと刑事上の責任民事上の責任に問われる可能性があります。
刑事上の名誉棄損罪については刑法230条に規定されています。

刑法230条
1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘時することによってした場合でなければ、罰しない。

「名誉」とは、人に対する社会的な評価などをいうと解されています。
「公然」とは、不特定または多数人が認識し得る状態と解されています。
「事実を摘示する」とは、人に対する社会的評価を低下させるおそれのある具体的事実を指摘、表示することをいいます。

似たような犯罪としては侮辱罪があります。

刑法231条 
事実を摘示なくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

名誉毀損罪と侮辱罪との違いは「事実を摘示」したかどうかです。
単なる意見や暴言にすぎないときは侮辱罪に問われます。

~告訴を防ぐ~

告訴とは、告訴権を有する者(被害者等)が、捜査機関(警察等)に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示を言います。
犯罪の中にはこの告訴がなければ起訴できない犯罪があります。
これを親告罪と言います。

刑法で定められている例を挙げれば、名誉棄損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)、過失傷害罪(刑法209条)、器物損壊罪(刑法261条)などがあります。
刑法以外の法律でも親告罪とされている犯罪がありますから、ご自身が行った犯罪が告訴が必要な親告罪か否かは弁護士に確認するとよいでしょう。

親告罪では、ご自身が罪を認めているのならば、被害者と話し合いや示談をすることが賢明でしょう。
示談が成立すれば、そもそも被害者が捜査機関に告訴状を提出しないということもありえるでしょう。
また、すでに提出していたとしても告訴を取下げてもらえるかもしれません
そうすれば有罪となって刑罰を受けたり前科が付く可能性がなくなります。

ただし、示談を何と言ってお願いしたらよいか、示談金はいくらにしたらよいか、示談書はいくらにしたらよいかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

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