【報道解説】コーラをかけたとして暴行罪で逮捕
コーラをかけたとして、暴行罪の疑いで警察に逮捕された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
報道紹介
トラブルになった相手の足にコーラをかけたとして、兵庫県警尼崎南署は9日、暴行の疑いで、自称住所不定、無職の男(48)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は9日午後0時半過ぎ、兵庫県尼崎市武庫川町3の路上で、面識のない会社員の男性(30)の片足に500ミリリットルのペットボトル入りのコーラをかけた疑い。「相手の態度に腹が立ったので、半分くらいかけた」と容疑を認めているという。
同署によると、男性が「急に絡まれた」と110番し、署員が向かっている間に男がコーラをかけたとみられる。男の呼気からはアルコールが検出され、直前に何らかのトラブルがあったとみて調べている。
(10月9日に神戸新聞NEXTで配信された報道 https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202310/0016900081.shtml より引用)
コーラをかけただけで暴行罪?
今回取り上げた報道ではペットボトルにはいったコーラをかけたとして暴行罪の疑いで男性が逮捕されています。
暴行罪というと、殴ったり蹴ったりといった暴力行為を行ったときに成立する犯罪で、コーラをかけただけで暴行罪になるのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そのような典型的な暴力行為以外でも暴行罪が成立する場合があります。
暴行罪が成立するために必要な「暴行」とは、人の身体に対して不法に有形力を行使(物理的な攻撃)をすることと考えられていますが、有形力の行使の程度がおよそ相手にケガを負わせるものとはいえない軽微なものであっても暴行罪となっている裁判例があります。
例えば、福岡高等裁判所昭和46年10月11日判決では、被害者の方の顔や胸などに塩を数回振りかけた行為が、被害者の方に「不快嫌悪の情を催させるに足りる」ものであることを理由に、塩を数回振りかけた行為について暴行罪の成立を認めています。
また、さいたま地方裁判所平成14年3月18日判決では、6歳の被害者の頭に射精をして精液をかけた行為を暴行罪に当たると判断しました。
このように暴行罪は、人の身体に対して不法な有形力の行使があれば、その程度が軽微なものであっても成立する場合があることになりますので、コーラや水を相手に向かってかけたという場合でも暴行罪に当たると考えられます。
なお、暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料となっています。
暴行罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は
相手を殴ったり蹴ったりした訳でもないのに暴行罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士に相談して、ご自身の行為が本当に暴行罪に当たる可能性があるのか、仮に暴行罪に当たる可能性が高い場合は、今後どのような対応をとればよいのかといったことついて弁護士からアドバイスを貰われることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行罪をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
暴行罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。