【事例解説】飼い犬への虐待によって動物愛護法違反の疑いで書類送検

2023-08-11

 自宅で飼っていた犬を虐待していたとして動物愛護法違反の疑いで書類送検されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、自宅で飼っていた犬が自分の言うことをきかないため、犬を蹴ったり、叩きつけたりといった虐待を加えていました。
 日常的な虐待によって、Aさんの犬はケガを負っています。
 ある日、Aさんが散歩中に犬に対して虐待をしているところを周りにいた目撃者の方に警察に通報されました。
 その後、警察からAさんの元に連絡が届き、Aさんは警察に呼び出されました。
 何度か警察に呼び出された後、Aさんは警察から『書類を検察に送るから』と言われました。
(この事例はフィクションです)

飼い犬に対して虐待を加えるとどのような罪に問われるか?

 Aさんは、動物愛護法違反の疑いで書類送検されています。
 「動物愛護法」とは、正式には「動物の愛護及び管理に関する法律」という法律名で、「動物愛護法」「動物愛護管理法」といった略称であらわされることが多いです。

 この動物愛護法44条1項では、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。」と規定しています。

 事例のAさんは、自身が飼っている犬に対して蹴ったり、叩きつけたりという虐待を加えて、犬にけがを負わせていますが、犬は「愛護動物」に当たりますので、Aさんは動物愛護法44条1項によって5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科される可能性があるということになります。

 また、愛護動物を殺傷していなくても、愛護動物の身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加えたり、愛護動物に餌や水を与えずに衰弱させたり、愛護動物が病気になってもそのまま放置したり、愛護動物を排せつ物が堆積した場所で飼育していたりといった愛護動物に対する虐待を行っていた場合には、動物愛護法44条2項によって処罰の対象になる可能性が高いです。
 動物愛護法44条2項の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

愛護動物にはどのような動物が当たるか

 このように、「愛護動物」に対して虐待を加えると罪に問われる可能性がありますが、「愛護動物」には、犬以外にも、牛、馬、豚、めん羊、山羊、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるが該当します(動物愛護法44条4項1号参照)。
 また、上記以外の動物で、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものも「愛護動物」に当たることになりますので(動物愛護法44条4項2号参照)、例えば、ペットで飼われているハムスターやインコといった動物も「愛護動物」に当たることになります。

書類送検とは

 事例のAさんは、数回警察に呼ばれた後に、警察から「書類を検察に送るから」と言われていますが、これは、報道でよく使われる「書類送検」をするということです。
 書類送検の後にどうなったかが報じられる機会が少ないことからか、書類送検されるとそれで事件が終わったと思われる方が少なくありませんが、そうではありません。
 書類送検とは、警察で作成した調書といった捜査書類や証拠となる物を警察から検察に送致することを意味していますので、書類送検がなされると、送致されてきた捜査書類等を踏まえて、検察官が被疑者を起訴するかどうかの判断を行うことになります。

動物愛護法違反の前科を付けたくないとお考えの方

 動物愛護法違反の疑いで書類送検された方で、前科を付けたくないとお考えの方は弁護士に相談して、今後の対応等についてアドバイスを受けることをお勧めします。
 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
 動物愛護法違反の疑いで警察の捜査を受けている方や、動物愛護法違反の疑いで書類送検された方、動物愛護法違反前科を付けたくないとお考えの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。