【事例解説】隣人トラブルが発展し警察の介入 器物損壊容疑で取り調べ

2023-06-30

 隣人トラブルが警察の介入に発展した事件を参考に、器物損壊罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事件概要

 大阪市内のアパートに居住する自営業男性A(25歳)は、隣部屋に居住する会社員女性V(23歳)から、夜間の騒音について強く苦情を言われた腹いせに、駐輪場に停めてあるVの自転車のサドルに生ごみを塗り付けました。
 Aの犯行に違いないと確信したVが警察に被害届を提出したことから捜査が始まり、器物損壊の容疑でAへの任意の取り調べが行われました。
(事例はフィクションです。)

器物損壊罪とは

 他人の物を損壊した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第261条)。

 選択刑に科料があることからも、刑法に規定される罪の中では比較的軽いものと言えますが、犯行態様が悪質な場合や被害額が高額な場合は、懲役刑の実刑判決が出ることもあり得ます。

 「損壊」とは、物理的に破壊するだけではなく、事実上その本来の用法に従い使用することができない状態にすることも含むとされ、判例上、営業用の食器に放尿することが器物損壊罪にあたるとされた例もあります。

 本件で、Aは自転車のサドルを物理的に破壊した訳ではありませんが、たとえ清掃・消毒したとしても、他人の排出した生ごみが付着したサドルに跨ることは通常心理的な抵抗があり、サドルを事実上使用不可能な状態にしたと言えるため、他人の物を「損壊」したとして、器物損壊罪が成立する可能性が高いと考えられます。

器物損壊事件の刑事弁護

 器物損壊罪は、被害者の告訴(犯人の処罰を求める意思表示)がなければ起訴されない親告罪であるため、被害届提出の段階であれば、謝罪と被害弁償を行った上、被害届の取り下げ及び告訴をしない内容を含む示談が成立すれば、起訴を回避し得ます。

 当事者同士では、冷静な示談交渉が期待できず新たな紛争を生むおそれがあるほか、示談の内容に不備があることで、一旦示談が成立したにも関わらず後日紛争が蒸し返されるおそれもあることから、被害者との示談交渉は、弁護士に依頼して行うことをお勧めします。

 示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することで、被害届の取り下げ及び告訴をしない内容を含む、双方が十分に納得のいく示談が成立する可能性を高めることができます。

すぐに弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、器物損壊事件での示談成立による不起訴処分を獲得している実績があります。
 隣人トラブルでの器物損壊事件で自身やご家族が被害届を出されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。