【事例解説】美人局で男女2名が恐喝の疑いで逮捕

2025-06-04

美人局で男女2名が恐喝の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

恐喝

事例 

男性Aさんと女性Bさんは、美人局に引っかかった男性から金銭を巻き上げる計画を立てました
計画どおり、女性Bが男性Vを誘い、ホテルに入ろうとしたところを男性Aが呼び止め、俺の女に何してるんだと因縁をつけ、金銭を要求しました。
男性Vは最初抵抗していたものの、男性Aから職場や家族にばらすぞと言われたことに恐怖を感じ、近くのATMで現金をおろして50万円を男性Aに手渡しました。 
後日、この件を男性Bが警察に相談することにしました。
Bさんからの話を聞いた警察は、恐喝事件として捜査を進め、男性Aと女性Bを恐喝の疑いで逮捕しました。
(フィクションです。)

美人局とは

美人局とは、女性を利用して男性を誘い出し、金銭を脅し取ったり騙し取ったりする行為のことをいいます。
典型的な例としては、共謀した男女が、主に男性に対して性的な誘惑をしかけ、男性がこれに応じたところでグルになった男性が恐喝をしかけるといったものになります。

美人局による恐喝行為について 

美人局行為により金銭を脅し取る行為には、恐喝罪が成立する可能性があります。

刑法第249条(出典/e-GOV法令検索)では、人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処すると規定されています。

本件では、AはVに対して「職場や家族にばらすぞ」などと言ってVさんを脅迫して50万円を受け取っています。
Aの行為には恐喝罪が成立するでしょうか。

恐喝とは、①財物交付に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であり、②その反抗を抑圧するに至らない程度の行為を言います。
まず①について検討すると、本件では、AはVに対して「職場や家族にばらすぞ」などと言って金銭を要求しました。
この発言は、職場や家族に発覚する可能性を感じさせるものであるので、Bを畏怖させるに足りる脅迫に該当しそうです。
実際に、Vさんは、家族や職場に発覚することを恐れAの要求に応じています(①)。

次に、②についてですが、反抗を抑圧する程度の脅迫というのは、例えば、拳銃の銃口を突きつけながら「金を出さないと殺すなどと脅す場合です。
犯行を抑圧する程度の脅迫に至っているようであれば恐喝罪ではなく、強盗罪が問題になります。
本件では、Aの脅迫は口頭によるものであり、物理的な暴力や凶器の使用はありませんでしたので、反抗を抑圧する程度にまでは至っていなかったと言えそうです(②)。
以上より、Aの発言は恐喝に当たり、Aには恐喝罪が成立する可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
ご家族が逮捕されてしまった方など、できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。