【事例解説】喧嘩の仲裁をしたつもりが傷害で捜査を受けることに
喧嘩の仲裁をしたつもりが傷害で捜査を受けることになった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんが友人と飲んだ帰りに道を歩いていると、友人と通行人Vの肩がぶつかったようで友人と通行人Vが口論をはじめました。
Aさんはお互いをなだめていましたが、口論がヒートアップして掴み合いに発展し始めたため、友人を守ろうと通行人Vの服を掴んで引き離しました。
それに加えて、Aさんは通行人Vの胸の辺りを押して喧嘩をやめるように伝えました。
通行人Vは相手が2人では分が悪いと考え、その場を立ち去りました。
通行人VがAさんに突き飛ばされて怪我をしたと警察に被害届を出したようで、Aさんは警察から呼び出しを受けることになりました。
Aさんは喧嘩の仲裁に入ったつもりで、仮に自身の行為が傷害に当たるとしても正当防衛だと考え弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです。)
傷害罪について
傷害罪は、刑法204条(出典/e-GOV法令検索)に規定されています。
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
「傷害」とは人の生理機能を侵害することであるとされています。
具体例としては、頭を叩いてたんこぶや内出血を負わせること、刃物で切り傷を負わせることなどが上げられます。
事例のAさんは、喧嘩の仲裁のためとはいえ通行人Vさんの服を掴んで引き離したり、胸の辺りを押しているため、これにより通行人Vさんが怪我をしていれば、人の生理機能を侵害したとして傷害行為が認められるかもしれません。
正当防衛について
ある行為が犯罪に当たる行為であっても、それが正当防衛の要件を満たす行為であればその行為の違法性はなく犯罪は成立しません。
正当防衛は刑法36条1項に規定されています。
刑法36条1項(出典/e-GOV法令検索)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
これからすると、正当防衛は、「急迫性」、「不正の侵害」、「自己又は他人の権利」、「防衛するため」、「やむを得ずにした」という要件が必要であることが分かります。
正当防衛が成立する可能性があるか否かは、法律的な判断が必要となりますので、自身で勝手に判断するのではなく法律の専門家である弁護士の見解を聞いてみることをオススメします。