【事件解説】いたずら動画のSNSへの投稿 威力業務妨害罪で送検
飲食店で撮影したいたずら動画をSNSに投稿し拡散させたことで、威力業務妨害罪の容疑で送検された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事件概要
福岡県北九州市内の飲食店で撮影したいたずら動画をSNSに投稿し拡散させて店の業務を妨害したなどとして、同市内在住の20代の男女が威力業務妨害の容疑で書類送検されました。
警察の調べによると、男は今年3月、同飲食店で、卓上に置いている漬物を共用トングで直接食べ、女はその様子を動画で撮影し、SNSに投稿しました。
いたずら動画がSNS上で拡散され、それに気づいた店主が警察に被害届を提出したことにより捜査が開始され、男女の関与が明らかとなったものです。
(過去に報道された実際の事件に基づき、一部事実を変更したフィクションです。)
威力業務妨害罪とは
威力を用いて人の業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第234条)。
「威力を用い」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すこと、とされています。
直接的な暴力行為や爆破予告等の脅迫行為が該当することは勿論、判例では、大声の怒号により式典を妨げる行為、食堂で蛇を撒き散らす行為による威力業務妨害罪の成立を認めています。
「業務」とは、職業その他の社会生活上の地位に基づき反復継続して行われる事務・事業とされます。
本件では、事態を収拾するために、店に全ての卓上の漬物の交換や共用トングの消毒作業等の対応を余儀なくさせたいたずら動画のSNS投稿を「威力を用い」たものと捉え、威力業務妨害罪で送検したと考えられます。
いたずら動画のSNS投稿による威力業務妨害事件の弁護活動
飲食店でのいたずら動画のSNS投稿による威力業務妨害罪の場合、被害者が警察に被害届を提出することで、刑事事件として警察の捜査が開始されることが多いです。
弁護活動としては、被害弁償の見通しを立てた上で示談交渉を行うことが通常でありますが、被害弁償は、消毒作業等の実費の他、営業休止に伴う逸失利益や飲食店のイメージダウンに伴う損害賠償など、高額を請求される可能性があり、示談交渉が難航する恐れがあります。
そのため、1つの方法として、真摯な謝罪を行った上、被害弁償は民事手続きで別途解決することを留保し、刑事処分については「寛大な処分を求める」旨の宥恕条項を入れた示談に一先ず合意してもらうことで、不起訴処分を得られる可能性を高めることが考えられます。
飲食店を運営する企業等を相手に加害者個人で示談交渉を行うことは現実的でないため、示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。
まずは弁護士にご相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において、被害者との示談の成立により不起訴処分を獲得した実績が多数あります。
自身やご家族が威力業務妨害罪で警察の捜査を受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。