逮捕監禁事件
逮捕監禁罪の概要
刑法第220条は,「不法に人を逮捕し,又は監禁した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。」と規定し,逮捕及び監禁の罪について定めています。
逮捕・監禁罪は,人の行動の自由を侵害する犯罪ですので,同罪が成立するためには,行動の自由を侵害したといい得るほどの時間の継続が必要です。
「逮捕」とは,人の身体に対して直接的な拘束を加えてその行動の自由を奪うことをいいます。
「監禁」とは,人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にしてその行動を奪うことをいいます。
「逮捕」の具体的な例としては,ロープや粘着テープで手足を縛るなどするという場合が挙げられます。
実際の裁判では,縄で両足を縛って5分ほど引きずり回す行為が「逮捕」にあたるとした例があります。
「監禁」という言葉を聞くと,物理的に部屋に閉じ込められて隔離されるというイメージを持たれる方が多いと思いますが,監禁罪にいう「監禁」とは,物理的には脱出が容易でも,暴行・脅迫や偽計などの心理的な方法によってその場から立ち去ることが著しく困難である場合も含まれます。
例えば,入浴中の人の衣服を隠して羞恥心を生じさせて,浴室から出られなくする行為や被害者を円陣やスクラムを組んで取り囲む行為も,脱出を不能または著しく困難にするものである場合として,監禁罪が成立することがあります。
また,監禁罪は,人が一定の区域から出ることを不可能にした場合だけでなく,著しく困難にした場合にも成立します。
脱出の可否及び困難性は,物理的障害の有無・程度,被害者の年齢・性別・体力・性格・犯人との関係などの事情を考慮して判断されます。
弁護活動の例
1 身の潔白を主張する
身に覚えのない逮捕・監禁の容疑がかけられた場合や,親の持つ懲戒権の行使で正当な範囲内のものなど,逮捕・監禁罪に当たらないにもかかわらず捜査機関から逮捕・監禁の容疑をかけられてしまうこともあります。
そのような場合は,弁護人を通じて冤罪を証明する証拠や,正当な懲戒権行使の範囲内であることを証明する証拠を収集すること,実際に行動の自由が侵害されたのか捜査機関の主張が十分な証拠に裏付けられていないことを指摘し,冤罪を主張します。
また,弁護士を介して,取調べ対応についての適格なアドバイスを受けることにより,虚偽の自白をとられないようにする必要があります。
2 被害者に対して誠実に謝罪し賠償を行う
逮捕・監禁の事実について争いがない場合には,被害者に対して誠実な態度で謝罪して宥恕を得るということが,刑事事件の処分を左右する重要な要素となり得ます。
被害者との間で,被害弁償及び示談を成立させることで,警察の介入を避けたり,微罪処分で終わらせたり,また不起訴処分によって前科を付けずに事件を解決したり,逮捕・勾留による身柄拘束を回避して職場復帰や社会復帰する可能性を高めることができます。
謝罪や賠償は当事者間でも行うことができますが,被害感情を悪化させてしまったり,交渉が決裂してしまったりなど,困難を伴うことが多いです。
第三者である弁護士を介することによって,被害者の怒りや不安を和らげて処罰感情を抑えながら,示談交渉をスムーズに進めることができます。
3 身体解放活動
逮捕・勾留等によって身体拘束されている場合には,早期の身体解放を目指して活動いたします。
具体的には,逮捕段階であれば,検察官・裁判官に対して,逮捕に引き続く身体拘束である勾留をしないよう働きかけます。勾留決定が出てしまった後については,勾留決定に対する準抗告という不服申し立てを行うなどして,早期に釈放するよう活動します。
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