過失傷害罪・過失致死罪・重過失致死傷罪

犯罪の概要

刑法第210条は,「過失により人を死亡させた者は,50万円以下の罰金に処する。」と規定し,過失致死罪について定めています。

また,刑法第209条第1項は,「過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料に処する。」と規定し,過失傷害罪について定めています。

本来,故意による犯罪が処罰されるのが原則であり,過失の処罰は例外的なものとされています(刑法38条1校)。

しかし,過失であったとしても,人の生命や身体に対して死傷を招きかねない行為については厳しく取り締まる必要があることから,明確にこれを処罰の対象としたものです。

実際の裁判では,大量にお酒を飲むと病的酩酊に陥り,心神喪失の状態で他人に犯罪の害悪を及ぼす危険のある素質を有することを自覚している者は,その原因となる飲酒を抑止又は制限するなどして危険の発生を未然に防止するよう注意する義務があり,この義務に違反して大量にお酒を飲んだ場合に,「過失」が認められるとしています。

さらに,刑法第211条後段は,「重大な過失により人を死傷させた」場合には,重過失致死傷罪が成立し,5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。

「重大な過失」とは,注意義務違反の程度が著しいことをいいます。

実際の裁判では,道路上でゴルフの素振りをしていて,素振りをしたゴルフクラブで通行人の胸部を強打した事例,夫婦喧嘩の際,日本刀を取り出して自宅のふすまを突き貫いたところ,ふすまの背後にいた長男の胸部に日本刀が突き刺さった事例において,「重大な過失」があると認められています。

 

弁護活動の例

1 過失がなかったことを主張する

過失とは,注意義務に違反した不注意な行為をいい,過失致死罪,過失傷害罪,重過失致死傷罪が成立するためには,過失が必要です。

そのため,本人に過失がないとの主張をすることにより,罪の成立を否定することが考えられます。

事案に応じて,充分な注意を尽くしていたとしても,傷害・死亡結果の発生は避けられるものではなかったといった主張や,事故の発生は被害者側の過失によるものであって,本人には過失はなかったなどの主張をする必要がある場合もあります。

 

2 被害者・遺族等への謝罪・賠償を行う

過失傷害罪,過失致死罪,重過失致死傷罪においては,被害者や遺族に対する賠償を行い,被害者と示談をすることにより,不起訴処分になる場合や,起訴されたとしても減刑を求めることが考えられます。

過失傷害罪については,刑法第209条第2項に「告訴がなければ公訴を提起することができない。」と規定されています。

告訴とは,容疑者を刑事裁判にかけて処罰してほしいという旨の申告をいいます。

したがって,過失傷害罪の場合には,このような申告がなければ刑事裁判になることはありませんので,示談によって告訴をしない,あるいは告訴された後でも告訴を取り下げてもらう旨の約束を取り付けることができれば,刑事罰を避けることができます。

過失傷害・過失致死・重過失致死傷事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者遺族の処罰感情が被疑者・被告人の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介し,迅速に適切な内容の示談をすることが重要です。

また,身体拘束がされている場合には,示談をすることで釈放の可能性も高まりますので,示談によって早期の職場復帰・社会復帰が実現する可能性があります。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,過失傷害罪・過失致死罪・重過失致死傷罪を起こしてしまってお困りの方に対して、弁護士が直接無料相談させていただきます。

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