強盗・不同意性交等事件
第1 強盗・不同意性交等罪の概要
刑法第241条1項は,「強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が第百七十七条(※不同意性交等)の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は同条の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。」と規定し,強盗・不同意性交等罪について定めています。
以前の強制性交等罪・準強制性交等罪よりも犯罪が成立しやすくなっております。暴行・脅迫よりも広く行為が含まれることになり,被害者が同意していないといえれば認められることになります。性交等の範囲も広がり、「性交、肛門性交、口腔性交」だけでなく、「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」も性交等として含まれることになりました。
なお、被害者に傷害が生じた場合には、この罪のみが成立し、別に傷害が成立することはありません。
強盗と不同意性交等のどちらが先であるかを問わず、同一の機会に行われた場合を重く処罰することになります。強盗と不同意性交等は同一の機会の行われる必要がありますから、仮に同一の被害者に対して別々に強盗と不同意性交等を行ったとしても、2つの罪が成立するにとどまります。この同一の機会の判断については、強盗と不同意性交等が行われた時間的・場所的間隔や、被害者と被疑者の行動を踏まえて判断されることとなっています。
また、刑法241条2項が,「前項の場合のうち、その犯した罪がいずれも未遂罪であるときは、人を死傷させたときを除き、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思によりいずれかの犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と定めています。そのため、強盗・不同意性交等のいずれもが未遂で終わった場合には、被害者等が死傷しなければ、刑の減軽を受ける可能性があります。ただし、被害者が死亡したか、被害者に傷害が生じた場合には、仮に両方とも未遂に終わっていたとしても、刑の減軽を受けることはできません。
第2 弁護活動の例
1 身の潔白を主張する
身に覚えのない強盗・不同意性交等容疑がかけられた場合は,弁護人を通して冤罪を証明する証拠の収集や,捜査機関の主張が十分な証拠に裏付けられていないことを指摘し,冤罪を主張します。
また,弁護士を介して,取調べ対応についての的確なアドバイスを受けることにより,虚偽の自白をとられないようにする必要があります。
2 被害者に対して誠実に謝罪し賠償を行う
強盗・不同意性交等罪に該当する事実関係に争いがない場合には,被害者に対して真摯に謝罪し,被害等の賠償を行うことが考えられます。
強盗・不同意性交等事件は,親告罪ではないため,謝罪や賠償をして告訴を取り下げてもらうことで必ずしも不起訴等の処分が出ることにはなりません。しかし,謝罪・賠償等をしておくことで,被害者が容疑者を許しているということができれば,不起訴処分等の有利な処分につながることがあります。
また,強盗・不同意性交等罪で起訴され裁判になってしまった場合でも,被害者との間で示談や被害弁償を行っておくことは,刑罰の重さを決めるうえで,被告人にとって有利な事情になりますので,裁判においても主張することができます。
3 早期釈放
強盗・不同意性交等罪で逮捕された場合,逮捕・勾留を解いて釈放されるのは非常に難しいですが,検察官に対して勾留請求せずに釈放するよう働きかけを行い,裁判官に対しては勾留せずに釈放するよう法的手続きをとることで早期釈放を目指します。
また,被害者との間で示談を締結しておくことは,釈放又は起訴後の保釈において有利な事情としてはたらくことになるため,早期の社会復帰を実現する可能性が高まります。
4 裁判員裁判への対応
強盗・不同意性交等事件は,裁判員裁判の対象事件になります。裁判員裁判とは,一般の市民の方が職業裁判官と一緒に有罪・無罪及び有罪の場合の刑の重さ(量刑)を決める裁判制度のことです。裁判員裁判は,一般の方が参加する制度になりますので,専門用語を並べるだけでなく,分かりやすい裁判をする必要があります。また,通常の刑事裁判と異なる手続が多い制度になりますので,手続の面での専門性も問われることになります。弊所では,裁判員裁判も多数経験しておりますので,これらの点についての十分な対応実績があります。
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