タクシーの無賃乗車と強盗罪

2019-04-27

タクシーの無賃乗車と強盗罪

事例
Aは,神奈川県横浜市でタクシーの無賃乗車しようと,Ⅴが運転するタクシーを停車させて乗車しました。
目的地付近で,AはⅤに対し「電話がしたい」といい,電話ボックスの付近で停車することを求めました。
Aは電話ボックスの方へ向かいましたが,不審に思ったⅤがAを追いかけていったところ,AはⅤを殴りⅤを失神させました。
その後,Aはついでにタクシー内にある売上金を奪おうと思い立ち,タクシーに戻って売上金5万円を持ち去りました。
後日,神奈川県瀬谷警察署の捜査により,Aは強盗罪等の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

Aに成立が考えられる罪名

今回のAにはどういった犯罪が成立しうるのでしょうか。
以下で細かく検討していきましょう。

まず,Aが無賃乗車をするつもりでタクシーに乗り込み,乙に運転させた行為について,Aにいわゆる詐欺利得罪(刑法246条2項)の成立が考えられます。
いわゆる詐欺利得罪は,人を欺罔して,財産上の利益を得ることで成立します。
そして,ここにいう,「人を欺いて」とは,財産上の利益の移転へ向けられた重要な事実を偽ることをいいます。
上の事例では,AはⅤに運賃を支払う意思がないのにもかかわらず,これがあるかのように装っています。
仮にⅤが,Aが無賃乗車をするつもりでタクシーに乗り込み,運転を依頼したのであると気づいていたならば,Ⅴは目的地にAを送り届けることをしなかったであろうと考えられます。

また、目的地への輸送といったサービスの提供も財産上の利益と言えます。
そのため,Aの行為は,目的地のまでの輸送という財産上の利益へ向けられた,重要な事実を偽ったものであるといえ,これによりⅤは錯誤に陥り,Aを目的地付近まで送り届けています。
よって,Aの行為は詐欺利得罪に当たると思われます。

そして,Aが運賃の支払いを免れるため,Ⅴを殴り倒した行為について,Aにいわゆる強盗利得罪(刑法236条2項)の成立が考えられます。
いわゆる強盗利得罪の成立には,①暴行又は脅迫を用いて,②財産上の利益を得,又は他人にこれを得させたことが必要です。
ここにいう,「暴行」とは,相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行をいいます。
上の事例で,AはⅤを失神するほど殴り倒しているので,相手方たるⅤの反抗を抑圧するに足りる程度の「暴行」があると言えます。
また,Aはこの暴行により,運賃の支払いを免れているため,「財産上の利益を得」たといえます。
よって,Aに強盗利得罪が成立すると考えられます。
なお,Aの暴行でⅤが失神していることから,Ⅴを傷害したとして,強盗致傷罪となる可能性もあることに注意が必要です。

加えて,Aが暴行後に売上金5万円を持ち去った行為については,Aに窃盗罪の成立が考えられます。
AはⅤを殴って気絶させた後に売上金を奪おうと思ってこれを持ち去っていることから,強盗罪が成立するようにも思えますが,強盗罪の「暴行又は脅迫」は財物奪取に向けられていることが必要であるため,暴行を行ったあとに財物を奪取する意思を生じさせ,物を取った場合には強盗罪は成立しないのが原則です。

今回のAの暴行は,運賃の支払いを免れるためにされたものであって,売上金を持ち去るためになされたものではありません。
そのため,売上金を持ち去った行為については,Aには窃盗罪が成立し,強盗罪は成立しないと考えられます。
また,AはⅤが気絶している間に売上金を窃取しているため,乙の売上金に対する占有が失われているとして,遺失物横領罪(刑法254条)の成立が考えられますが,Ⅴは気絶しているのみであって,死亡したわけでもないため,乙の売上金に対する占有は失われていません。
よって,やはりAには窃盗罪の成立が考えられます。

今回のAの行為には,これだけの犯罪の成立が考えられます。
なお,実務上では,詐欺罪は強盗罪に吸収され,Aは強盗罪(強盗致傷罪)と窃盗罪に問われることになると考えられます。

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神奈川県瀬谷警察署までの初回接見費用:36,500円)