傷害事件の身柄解放活動

2020-04-26

今回は、傷害事件を起こしてしまった方の身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、東京都府中市の繁華街を歩いていた際、Vのさしていた傘が自身に当たったことをきっかけとしてトラブルとなり、腹に据えかねたAさんは、Vの顔面を右こぶしで殴打してしまいました。
Vは顔面打撲の傷害を負っています。
Aさんの犯行は通行人により警察に通報されてしまい、Aさんは、警視庁府中警察署傷害の現行犯として逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~傷害罪について解説~

文字通り、人の身体を傷害する犯罪です。
通常、右こぶしで人を殴打するなどしてケガをさせてしまった場合には、傷害罪が成立することになります。
法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

なお、銃砲や刀剣類を用いて人の身体を傷害した場合は、「暴力行為等処罰ニ関スル法律」に違反することとなり、法定刑は1年以上15年以下の懲役となります(暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条の2)。

Aさんは素手でVの顔面を殴打し、怪我を負わせているので、通常の傷害罪が成立することになるでしょう。

~早期の身柄解放に着手~

傷害の疑いで現行犯逮捕されてしまうと、どのくらいの間身体拘束を受けることになるのでしょうか。
ケースバイケースではありますが、逮捕・勾留されてしまうと、捜査段階で最長23日間身体拘束を受けることになります。
Aさんが会社に勤務していたり、学校に通うなどしている場合であっても、逮捕・勾留中は外に出ることができないので、その間は、無断欠勤・無断欠席を続けることになります。
無断欠勤・無断欠席が続くと、会社をクビになったり、学校を留年するなどの不利益を受けることになります。
逮捕されてしまった場合は、可能な限り早く留置場や拘置所の外に出ることが重要です。

逮捕直後においては、勾留を阻止する活動が重要です。
逮捕されてしまったケースにおいて、常に勾留決定をすることが許されるわけではありません。
被疑者を勾留するためには、以下の要件を満たす必要があります。

(勾留の要件)
①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
②(1)被疑者が定まった住居を有しないこと
②(2)被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること
②(3)被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること
③勾留の必要性が認められること

②(1)~(3)は、いずれか1つ充足すれば足ります。

勾留を阻止するためには、検察官や裁判官に対して、以上の要件を満たさないことを説得すればよいのです。
①については、Aさんが現行犯であることから、これを満たさないと主張することは難しいかもしれません。
②③については、「Aさんに定まった住居や職があること」、「被害者とは特に接点がなく、被害者の住所から離れて生活していること」、「信頼できる身元引受人を用意できること」などを主張し、勾留をしないよう働きかけることになるでしょう。

~勾留されてしまった場合~

勾留されてしまった場合であっても、「準抗告」や「勾留取消請求」などの制度を通じ、早期の身柄解放を実現できる可能性があります。

また、Vと示談をすることも重要です。
示談がまとまれば、当事者間で事件が解決したものとして、釈放される可能性があります。
また、検察官がAさんの事件につき、不起訴処分を行う可能性も高まります。
さらに、Vと示談をして、Vに生じさせた損害を賠償することにより、後日、民事事件に巻き込まれるリスクを無くすこともできます。

傷害の疑いで逮捕されてしまった場合は、一刻も早く弁護士を呼ぶことをおすすめします。
接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。