強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

2020-06-14

強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

強制わいせつ致傷事件裁判員裁判になったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都市左京区に住むAさんは、飲み会からの帰り道、前を歩いていた通行人の女性Vさんが好みのタイプであることに気が付きました。
酒も飲んで気が大きくなっていたAさんは、Vさんに触れてみたいという欲が抑えられなくなり、Vさんの背後から突然抱き着き、衣服の中に手を入れ、Vさんの身体を触りました。
Vさんが必死で抵抗してきたため、AさんはVさんを押さえつけようとしましたが、そのせいでVさんを転倒させてしまい、Vさんは全治2週間の怪我を負ってしまいました。
そしてAさんは、周囲の人からの通報を受けた京都府川端警察署の警察官に、強制わいせつ致傷罪の疑いで逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは、自分が容疑をかけられている強制わいせつ致傷罪裁判員裁判になると知りました。
裁判員裁判となることによって自分にどういった影響があるのか不安になったAさんは、家族の依頼で京都府川端警察署に接見に訪れた弁護士に、裁判員裁判について聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・強制わいせつ致傷罪

強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ罪を犯した際に相手に怪我をさせてしまったような場合に成立する犯罪です。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

刑法第第181条第1項
第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

強制わいせつ罪は、条文にある通り、「暴行又は脅迫を用いて」わいせつな行為をする犯罪です。
「暴行又は脅迫」が手段として使われることから、そのせいで被害者が怪我をしてしまうこともあり、そういったケースについてより重く処罰する犯罪が強制わいせつ致傷罪であるといえます。
なお、強制わいせつ致傷罪が成立するのは、「暴行又は脅迫」によって被害者が怪我をした場合だけでなく、「わいせつな行為」によって被害者が怪我をした場合も含みます。

そして、強制わいせつ致傷罪で気をつけなければいけないことの1つとして、「わいせつな行為」が未遂であっても(強制わいせつ未遂罪にあたる行為であっても)、被害者に怪我をさせてしまった場合には強制わいせつ致傷罪が成立するということが挙げられます。
強制わいせつ致傷罪の条文を見てみると、「第176条(注:強制わいせつ罪)…又はこれらの罪の未遂犯を犯し」と書いてあることが分かります。
ですから、たとえわいせつな行為をするに至っていなくとも、強制わいせつ致傷罪に問われることもあるのです。

・強瀬わいせつ致傷罪と裁判員裁判

条文にある通り、強制わいせつ致傷罪の刑罰には無期懲役が含まれています。
したがって、強制わいせつ致傷事件の裁判は裁判員裁判の対象となります(裁判員法第2条第1号)。
裁判員裁判の対象となるのは、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪に係る事件で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件であるとされています(裁判員法第2条)。

裁判員裁判では、法律の専門家ではない一般の方々が裁判員として参加されます。
したがって、刑事事件に精通している弁護士が裁判員の方々にわかりやすく被告人側の事情や主張を説明していく必要があるといえます。

また、裁判員裁判では、手続きの流れに一般の刑事裁判と異なる部分があります。
例えば、裁判員裁判では、公判前整理手続という証拠や争点を整理する手続きが必ず行われてから裁判が始まります。
この公判前整理手続は裁判本番というわけではありませんが、裁判で使用する証拠や裁判で問題となる争点を絞り込む手続であるため、この公判前整理手続にも十分な準備と活動が求められます。
さらに、裁判員裁判の裁判は集中的に開かれることが多く、1回1回の裁判が1か月~2か月程度の間隔で開かれる通常の刑事裁判と日程の面でも異なります。
こうした日程にも対応できるよう、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件専門の弁護士が所属しています。
強制わいせつ致傷事件のような裁判員裁判対象事件にも、刑事事件専門の弁護士だからこそ対応が可能です。
まずはお気軽にご相談ください。