子どもが覚せい剤のために強盗事件を起こしてしまった

2020-11-22

子どもが覚せい剤のために強盗事件を起こしてしまった

子どもが覚せい剤のために強盗事件を起こしてしまったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

18歳のAさんは、東京都武蔵野市に住んでいる高校生です。
Aさんは、SNSを通じて覚せい剤の売人と知り合い、そこから覚せい剤を購入して使用していました。
覚せい剤の使用を繰り返していたAさんは、回数を重ねるうちに覚せい剤に依存するようになっていったのですが、自分の小遣いだけでは覚せい剤のための費用を捻出できなくなり、ついには近所のコンビニで強盗事件を起こしてしまいました。
通報を受けた警視庁武蔵野警察署はAさんを強盗罪の容疑で逮捕しましたが、その後、Aさんが覚せい剤を使用していたことも明らかになったため、覚せい剤取締法違反についても捜査する方針となりました。
Aさんの両親は、何かAさんのためにできることはないかと東京都少年事件に強いと評判の弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・覚せい剤のために他の犯罪をしてしまった…

覚せい剤を所持・使用することは、覚せい剤取締法で禁止されており、これは多くの方がご存知なのではないかと思います。

覚せい剤取締法第41条の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。

覚せい剤取締法第41条の3第1項
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
第1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

覚せい剤の末端価格は1gにつき大体4万円程度と言われていますが、覚せい剤の質等によって変動するようです。
覚せい剤の1回の使用量は大体0.02~0.1gとされているため、覚せい剤1gでも10~50回使用できる、ということにはなりますが、これだけの値段を支払い続けることになれば、費用の捻出が苦しくなることもあるでしょう。

今回の事例では、Aさんは覚せい剤の所持・使用(覚せい剤取締法違反)とコンビニ強盗(強盗罪)という全く別の種類の犯罪をしています。

刑法第236条第1項
行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

覚せい剤取締法違反は薬物犯罪であり、被害者が存在しない犯罪です。
対して、強盗罪は被害者が存在し、誰かに実害が発生してしまう暴力犯罪です。
一見こうした薬物犯罪と暴力犯罪等別の種類の犯罪は関係がないように思えますが、Aさんのように覚せい剤の購入費用を工面するために強盗罪や窃盗罪、詐欺罪に手を出してしまったり、覚せい剤を使用して幻覚や幻聴、妄想が激しくなってしまったために暴行罪や傷害罪にあたる行為をしてしまったりと、覚せい剤の使用を起因として全く別の犯罪をしてしまう、というケースは度々見られます。
特に今回のAさんのように、未成年という自由にお金を使うことが難しい立場である場合、覚せい剤を手に入れるために他の犯罪に走ってしまうというケースは考えられるところです。

こうした全く別の犯罪を2つしてしまったという場合には、それぞれの犯罪に適した弁護活動を行っていかなければなりません。
例えば、覚せい剤取締法違反については、覚せい剤を入手した経路や人間関係を断ったり、専門治療を行ったりして、二度と覚せい剤に手を出さないような対策を練ってそれを主張していくことが考えられます。
また、強盗罪については、被害者への謝罪や弁償を行い、反省を示していくことが考えられます。
2つの犯罪の類型が全く別だからこそ、行う弁護活動も毛色が異なってきます。
だからこそ、こうしたケースでは、どのような種類の刑事事件少年事件にも対応が可能な弁護士へのご相談・ご依頼が望ましいと言えるでしょう。

そして、今回のAさんは未成年であることから、原則的に少年事件としての手続きによって処分が決定されます。
少年事件では、犯罪をしてしまった少年が更生するための適切な処分を考えていくことが必要とされます。
Aさんのように覚せい剤を継続的に使用しており、さらにその使用を続けるために強盗をしてしまったようなケースでは、本人の反省や強盗事件の被害者への謝罪・賠償だけではなく、原因となってしまった覚せい剤との決別や、それを可能とする環境の構成が重要視されると考えられます。
少年事件は、単純に罪の重い軽いだけでなく少年事件が起きてしまった後の対応や個々の少年の事情等も考慮されて処分が決められますから、環境の整備やそれらの事情の主張は、少年事件の手続きに強い弁護士にご相談されるべきでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件のみを取り扱っている法律事務所です。
覚せい剤取締法違反のような薬物犯罪から、強盗罪・傷害罪といった暴力犯罪、窃盗罪・詐欺罪などの財産犯罪まで、幅広い分野の刑事事件少年事件を取り扱っています。
強盗罪だから取り扱いはできない」「覚せい剤取締法違反の相談はできない」といったことはありません。
刑事事件少年事件専門だからこそ、全く異なる犯罪のご相談でも対応が可能です。
お問い合わせは24時間、フリーダイヤル0120-631-881で受け付けていますので、お気軽にお電話ください。