会社の同僚に嫌がらせをして取調べ

2020-03-17

会社の同僚に嫌がらせをして取調べ

今回は、会社の同僚に対し嫌がらせをした場合に成立する可能性のある犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
埼玉県草加市に住むAさんは、会社の同僚Vさんとの関係が悪化しており、電子メールで「会ってこれまでのことにケリをつけようや」などと執拗に迫ったり、Vさん宅に大小便や動物の死骸などを送りつけるなど、悪質な嫌がらせを繰り返していました。
腹に据えかねたVさんは警察に相談しました。
後日、Aさんの自宅に埼玉県草加警察署から連絡があり、「空いている日に出頭して聞かせてほしいことがある」とのことです。
正直、Aさんとしては出頭したくありません。
どうするべきでしょうか。(フィクションです)

~成立しうる犯罪は?~

今回のAさんのようなことをすると、埼玉県迷惑行為等防止条例違反となる可能性が高いと思われます。
関係する条文を抜粋して紹介します。

第10条
何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、不安又は迷惑を覚えさせるような行為であつて、次の各号に掲げるもの…を反復してしてはならない。
3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

まずAさんの行為は、同僚との関係が悪化した原因が何であれ、真っ当な方法を用いているとは言えませんから、「正当な理由がないのに、特定の者に対し、不安又は迷惑を覚えさせるような行為」に当たる可能性が高いでしょう。
また、電子メールを使い、「会ってこれまでのことにケリをつけようや」などと迫る行為は、3号に該当すると思われます。
また、「V宅に大小便や動物の死骸などを送りつける」行為は、6号に該当すると思われます。

したがって埼玉県迷惑行為等防止条例違反となる可能性が高いわけです。

上記行為に対する法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっております(12条1項)。
常習性が認められる場合には、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(12条3項)。

~Aさんはどうするべきか?~

Aさんは出頭したくないとのことです。

しかし警察の出頭要請に応じない場合、Aさんに「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」があると判断されてしまい、逮捕されてしまう可能性を高めてしまうことになるでしょう。

また、犯罪の内容にもよりますが、一般的に、被害者と加害者が鉢合わせをする可能性が低ければ、逮捕しなくてもいいという判断になる可能性も上がることがあります。
なぜなら、被害者を脅して供述を変えさせるなど、証拠隠滅の一種とされる行為をする可能性が低いと判断される傾向にあるからです。
しかし今回は会社の同僚同士であり、毎日顔を合わせる可能性があるので、逮捕されるリスクが高まる事情の1つが元々あるといえます。

したがって、少しでも逮捕の可能性を下げるために出頭には応じた方が賢明といえます。

~まずは弁護士と相談~

まだAさんは逮捕されていないので、いつでもAさんは弁護士と相談することができます。
できれば出頭前に弁護士と会い、取調べの対応方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。

また、Vさんと示談をすることにより、不起訴処分などの軽い処分を目指す必要もあります。
まずは、刑事事件に詳しい弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用を、逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用をお待ちしております。