ひったくり強盗で緊急逮捕

2019-10-04

ひったくり強盗で緊急逮捕

~ケース~
Aさんは、東京都国立市内の路上において、自転車に乗っていたVを横から蹴り倒し、Vの頭部を踏みつける等してその反抗を抑圧し、かごに入っていたバッグを強取しました。
Vの通報により、警視庁立川警察署の警察官が付近を2時間程検索していたところ、犯行場所から5キロメートルほど離れた路上において、通報で聞いていた犯人の容姿に酷似したAさんを発見したので、職務質問を行いました。
Aさんは上記犯行を認めていたものの、「職務質問は任意だ」と主張し、今にも逃亡しそうな様子であったので、警視庁立川警察署の警察官は、強盗罪の疑いでAさんを緊急逮捕しました。
(フィクションです)

~ひったくりをするとどのような犯罪が成立するか?~

ひったくりをおこなった場合、窃盗罪、恐喝罪、強盗罪の成否が検討されることになります。

窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(刑法第235条)。
恐喝罪は、その名の通り、人を恐喝して財物を交付させる犯罪であり、法定刑は10年以下の懲役です(刑法第249条)。
強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪であり、法定刑は5年以上(20年以下)の有期懲役です(刑法第236条)。

強盗罪における暴行・脅迫は、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければなりません(判例・通説)。
ひったくりを行った際になされた暴行がこれに至らない場合は、強盗罪は成立せず、窃盗罪、恐喝罪の成否が検討されます。

ひったくり事件において、「反抗を抑圧するに足る暴行」と認定された裁判例をいくつか紹介します。
東京高等裁判所昭和38年6月28日判決は、自転車に乗って通行中の女性の後ろから、原付で追い越しざまに女性が右手で自転車のハンドルとともに堤げ手のバンドを握っていたハンドバックを無理に引っ張って奪い取ろうとした事案につき、同女の抵抗を抑圧するに足る暴行に当たると判示しました。

今回のケースにおいては、自転車に乗っていたVを横から蹴り倒し、Vの頭部を踏みつける等の暴行を加え、かごに入っていたバッグを強取した、というものですから、「反抗を抑圧するに足る暴行」が行われたと判断される可能性が高いと思われます。
したがって、Aさんに強盗罪が成立する可能性は高いでしょう。

~緊急逮捕とは?~

Aさんによる犯行後、10分程度で警察が到着し、Aさんが犯行場所の近くで見つかった、という場合には、現行犯人として逮捕することができます。
しかし、Aさんは犯行時刻から2時間程経過し、犯行場所から5キロメートル離れた場所で発見されているので、現行犯人として認めることは困難です。
この場合に、Aさんを急いで確保する必要がある場合には、「緊急逮捕」という処分を行うことができます。

緊急逮捕」は、
①検察官、検察事務官又は司法警察職員が、
②死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合において、
③急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき
に、理由を告げて行うことができます(刑事訴訟法第210条)。
逮捕する際に逮捕状は必要ありませんが、逮捕後、直ちに裁判官に緊急逮捕状を請求しなければなりません。
逮捕状が発付されない場合は、直ちに釈放されます。

Aさんを逮捕したのは警察官(司法警察職員のひとつです)であり、強盗罪が長期20年の懲役にあたる罪であること、Aさんの容姿が通報により伝達された容姿と酷似していること、Aさん自身が犯行を認めたこと、Aさんが今にも逃亡しそうな様子であったことを考慮すると、ケースの緊急逮捕は適法であったと考えられます。

~強盗事件で緊急逮捕されたら弁護士へ~

強盗事件は凶悪犯罪とされており、証拠がそろえば起訴され刑事裁判となる可能性が十分考えられます。
先ほど確認したように、強盗罪の法定刑も非常に重いものですから、少しでも有利な解決を望まれる方が多いでしょう。

こうした場合、被害者と示談を成立させることにより、示談を成立させていない場合と比べて、有利な量刑による判決を期待することができます。
被害の程度や犯行態様によっては、示談締結により不起訴処分となる可能性も出てきます。

そして、さらに刑の減軽事由(今回のケースの場合は特に酌量減軽)があれば、執行猶予付き判決の獲得も視野に入れて活動することができます。
接見にやってきた弁護士に、今後どのように行動すべきか、ということについて助言を受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、強盗事件の解決についてももちろんご相談いただけます。。
ご家族がひったくり強盗事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。