【事例解説】強盗の準備をしていたとして強盗予備罪で逮捕
強盗をする準備をして強盗予備罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aさんは地元の先輩から窃盗をやらないかと誘われ、お金を持っていそうな外観のVさん宅に、先輩を含めた数名と一緒に窃盗に入ることにしました。
犯行日時や役割分担などを決め、もしVさんに見つかった場合にはナイフで脅して金を奪うという計画まで立てました。
また、ナイフや金目の物を入れるためのバッグも用意しました。
ところが犯行直前になって、臆した仲間の1人が警察署に相談をしました。
その情報をもとに、警察が犯行予定日時にVさん宅周辺に張り込みしていたところ、何も知らないAさんらが現れました。
すぐさま警官が取り囲み、Aさんらは強盗予備の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
~強盗予備罪とは~
Aさんたちは、仲間と共に窃盗の計画だけでなく、場合によってはナイフで脅すという強盗の計画まで立てて、ナイフやバッグを用意するなどの準備を行っていました。
まだ窃盗や強盗自体を行ったわけではありませんが、このような準備をした時点で強盗予備罪という犯罪が成立してしまいます。
刑法第237条(出典/e-GOV法令検索)
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
つまり、
①強盗目的で
②その準備をすると
強盗予備罪が成立します。
①まず、この強盗目的とは、暴行・脅迫を用いて物を奪い取る強盗を最初からするつもりの場合はもちろん、とりあえず空き巣(窃盗)をするつもりだが家主に見つかったら強盗の手段も辞さないという「居直り強盗」の計画がある場合も含まれます。
Aさんたちの場合も、最初から強盗で行こうとはしていませんが、場合によってはナイフで脅して金を奪うという強盗をするつもりであったので、①強盗目的があると言えます。
②次に、強盗の準備としては、強盗に必要な凶器などを調達したり、下見に行ったり、凶器などを持ってどの家に入ろうかと物色・徘徊するような行為が該当します。
Aさんたちは凶器となるナイフや現金を入れるバッグを準備していますし、まさにこれら凶器などを持ってVさん宅の近くまで来たわけですから、②強盗の準備をしたといえます。
以上により①と②両方を満たすので、Aさんたちには強盗予備罪が成立するといえるでしょう。
~事件はどう進んでいくのか~
逮捕をされたAさんたちは、最初に最大3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、被疑者段階で最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
勾留がされるか否かは事件次第ですが、前科があったり、今回行った犯罪が重かったり、犯行を否認していると、刑罰から逃れたいとはずだと判断され、逃亡や証拠隠滅の可能性が高いとして勾留されやすくなる傾向にあります。
また、共犯がいる事例では口裏合わせをする可能性があるなどの理由により、証拠隠滅の可能性があると判断される可能性が高くなる傾向にあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
勾留されたまま起訴された場合には、保釈請求をして認められない限り、身体拘束が続くことになります。
そして判決で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
~すぐに弁護士にご相談ください~
逮捕されると、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けそうか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、ご不安の点が多いと思います。