強盗罪で逮捕 恐喝罪との区別

2019-02-26

強盗罪で逮捕 恐喝罪との区別

京都市下京区に住むAは以前よりVから多額に金銭を借りており、Vから返済の催促をされていた。
Aは、Vに対する上記債務を逃れる目的で、Vを呼び出しVの咽元に刃物を突き付け、債務免除の念書を書かせた。
Vから相談を受けた京都府下京警察署の警察官は、Aを強盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、暴力事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~強盗罪と恐喝罪~

刑法は、236条において強盗罪を、249条において恐喝罪を定めています。
さらに詳しく刑法を見ていくと、強盗罪は「第36章 窃盗及び強盗の罪」において定められ、恐喝罪は次の「第37章 詐欺及び恐喝の罪」において定められていることが分かります。
もちろん刑法は意味もなくこのように章を分けているわけではなく、犯罪の態様が異なることから章を分けて規定しているのです。
この点、強盗罪は窃盗罪と同じグループとされるのは、これらの罪が被害者の意思に反して財物を移転させる「盗取罪」という類型の犯罪であるからです。
これに対し、恐喝罪が詐欺罪と同じグループされるのは、財物(及び財産上の利益)の移転が、被害者の意思に基づく「交付罪」といわれる類型の犯罪に当たります。

では、本件のようなケースでは、強盗罪恐喝罪いずれが成立するのでしょうか。
本件では、AはVから金を借りており、これを払いたくないがために脅迫を加えて、その支払いを免れようとしています。
つまり、強盗にせよ恐喝にせよ「財産上不法の利益(財産上の利益)を得」るための行為であることから、いわゆる2項強盗罪・恐喝罪の成否が問題となります。
そして、AがVに対して行った「脅迫」が、強盗罪が成立するほどに強度(被害者の反抗を抑圧する程度に強度)といえる場合には強盗罪が成立します。
なぜなら、恐喝罪の成立にとどまるためには、上述のとおり交付罪たる性質から、財物や財産上の利益の移転が被害者の意思に基づいたものである必要があるからです。
本件では、AはVの咽元の近くに刃物を当てて脅迫しており、このような死の危険すら感じさせる脅迫行為をされれば、被害者は反抗を抑圧されるのが通常であるといえます。
したがって、本件では強盗罪における反抗を抑圧するに足る「脅迫」があったといえ、2項恐喝罪ではなく2項強盗罪が成立すると考えられます。

このように強盗罪は暴行・脅迫という手段により、被害者の意思に反して財物(や財産上の利益)を移転させる罪であることから、恐喝罪と比べても「5年以上の有期懲役」とより重い法定刑が定められているのです。

~弁護士による起訴後の弁護活動~

強盗罪(刑法236条)は、上記のように「5年以上の有期懲役」と重い刑罰を規定する犯罪です。
したがって、逮捕・勾留の後に起訴され、刑事裁判となってしまう可能性も少なくありません。
そして依頼された事件が、否認事件なのか自白事件なのか等によって、起訴後の弁護活動も大きく変わってきます。
そこで、弁護士としては、逮捕・勾留段階から十分に被疑者との協議を重ね、弁護方針を十分に練っていくなど、早い段階から被疑者とのコミュニケーションを図っていくことが重要となってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗罪などの暴力事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
一定の処分が見込まれるような重い犯罪であっても、早期の弁護士による接見(面会)が、その後の処遇を左右しうることに変わりはありません。
弊所では、365日24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご家族が強盗罪逮捕されてしまった方のご相談や弁護士による接見のご依頼等を受け付けています。