誤想過剰防衛主張なら刑事事件専門の弁護士へ~中野区の傷害事件で逮捕

2017-11-06

誤想過剰防衛主張なら刑事事件専門の弁護士へ~中野区の傷害事件で逮捕

Aは深夜に、東京都中野区にある繁華街を歩いていたところ、Vに因縁をつけられた。
VはAの胸ぐらを掴み、いきなりナイフを突きつけたため、AはV顔面を殴り、そのナイフを奪い地面に放り投げた。
Vは、さらに刃物かなにかを取り出そうとしている仕草があったことから、AはV腹部を数回、おもいっきり蹴った。
その結果、Vは腹部に内出血の傷害を負い、Aは、第三者の通報により駆け付けた警視庁野方警察署の警察官に、傷害罪の容疑で逮捕された。
(フィクションです。)

~正当防衛が成立せず、誤想過剰防衛が成立する場合~

Aの蹴る行為により、V腹部が内出血しており、「人の生理的機能を障害させる」という結果が発生していることから、傷害罪を構成する犯罪行為に当たります。
ここで、Aには正当防衛が成立するのではないか、と思う方もいるかもしれません。
Aは、刃物を取り出そうとした(ように見えた)Vの腹部を蹴っていますが、現実にはVはナイフを所持していなかったため、Vの腹部を数回蹴った行為には、正当防衛(刑法36条1項)は成立せず、Aの行為はやりすぎ=過剰防衛となります。
しかし、刑法38条1項には「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と規定されており、罰するためには責任故意というものがなければなりません。
Aには、傷害罪を犯す意思=故意があったと言えるでしょうか。

Aの主観面によると、「刃物を取り出そうという仕草をしているVを、自己を防衛するために蹴った」のであり、正当防衛が成立しています。
したがって、Aには傷害罪の故意がありませんから、「誤想過剰防衛」が成立し、傷害罪では罰せられないと考えられます。
それでも、「Vが刃物を取り出そうという仕草」に勘違いをした点に、Aの過失が認められるため、過失傷害罪(刑法209条)が成立すると考えられます。

このように、主観的な事情によっても、傷害罪・過失傷害罪のどちらが成立するかが変わってきます。
傷害罪が成立する場合、傷害罪は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という法定刑になります。
過去の裁判例では、罰金刑についてはおおむね罰金15万円から50万円、懲役刑についてはおおむね懲役6か月から3年くらいで、執行猶予が付く場合、執行猶予期間はおおむね2年から5年ほどになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の弁護士事務所で、本件のような傷害事件を含め、刑事事件全般を取り扱っています。
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警視庁野方警察署までの初回接見費用:35,300円