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【事例解説】銭湯で他の客に暴行したとして暴行罪の疑いで逮捕

2024-03-04

銭湯で他の客に暴行したとして暴行罪の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

銭湯

・事件概要

京都府下鴨警察署は、会社員の男性暴行罪の疑いで逮捕した。
男は、京都市内の銭湯に入浴中に、別の客が体をしっかり洗わずに湯船に入ろうとしたのを見て「体洗わなあかんやろ」と注意したところ、相手が無視してお湯に浸かろうとしたため突き飛ばしたとされている。
周りにいた他の客からトラブルを聞きつけた店舗スタッフが止めに入ろうとするも、男は「お前らスタッフが言わんから俺が言ってるんや」とスタッフも突き飛ばしたので、警察に通報された。
駆けつけた警察官に対し、男は、「カッとなってやってしまった」と容疑を認めている。
(フィクションです)

・暴行罪とは

刑法208条出典:刑法/e-GOV法令検索

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法は、他人を叩いたり物を投げつけたりといったする行為を暴行罪として罰しています。
暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使であると解されています。
本件では、加害者の男性は、銭湯でマナーを守らなかった他の利用者と、トラブルを止めに入った銭湯のスタッフを突き飛ばしたようです。
人を突き飛ばす行為は、人の身体に対する不法な有形力の行為といえそうですから、暴行罪が成立する可能性があります。

・できるだけ早く弁護士に相談を

暴行罪に当たる行為をしてしまった場合、本件の加害者の男性のように逮捕される可能性があります。
逮捕された場合、検察官が勾留の必要があると判断すれば、検察官から裁判官に勾留請求がされます。

最終的に、裁判官により勾留の決定がされてしまうと、社会人の方には大きな影響があります。

勾留とは、逮捕に続く身体拘束であり、10日間に及ぶ上、場合によってさらに延長されることさえあります
このように身体拘束期間が長引いた場合、社会人の場合には仕事に行くことができなくなってしまいます。
結果、犯罪の嫌疑がかけられていることが知られてしまい、解雇される可能性があります。

したがって、早期に釈放を目指す弁護活動を開始することが重要となります。
逮捕後早い段階で弁護士に依頼することで、釈放を目指すための活動を行うことができます。
例えば、検察官と裁判官が勾留の必要性を判断する際に、弁護士は身体拘束の必要性がない旨の意見書を提出することができます。
意見書を適時に提出するのは、時間との勝負になります。

また、勾留が決定されてしまった場合でも、準抗告という形で、勾留の決定についての異議申し立ても可能です。

勾留に対する意見書の提出は勾留の決定がされる前にする必要がありますし、準抗告についても勾留の決定がされた後直ぐに申立てをすることで早期の釈放が叶う可能性があります。

刑事事件は時間との勝負になりますので、可能な限り早く弁護士にご相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行罪をはじめとする刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
暴行罪で逮捕されたかたは、なるべく早く一度弁護士法人刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お電話は、0120-631-881で承ります。

【事例解説】15歳の中学生が凶器準備集合罪の疑いで逮捕

2024-01-19

 15歳の中学3年生が凶器準備集合罪の疑いで警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 15歳の中学3年生のAさんは、同じ中学の友人同士でつるんでいたところ、隣町の中学の不良グループのリーダーであるVさんと些細なことからトラブルになりました。
 AさんとVさんは、お互いケンカで決着を付けようという話になり、1週間後に公園でケンカをすることになりました。
 タイマン当日、Aさんは友人たちと一緒に、金属バッドを持って指定された公園で待っていたところ、パトロールのために公園内を巡回していた警察官が来て、Aさんは、逃げ切れずに凶器準備集合罪の疑いで逮捕されたました。
(この事例はフィクションです)

凶器準備集合罪とは

 事例のAさんは、凶器準備集合罪の疑いで警察に逮捕されています。
 凶器準備集合罪は刑法208条の2第1項において、
 「2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」
といった形で規定されています。
 この規定を読んで分かるように、凶器準備集合罪は、実際に相手を殴って怪我をさせていなくても、喧嘩のために凶器を準備して集まっただけで処罰の対象になる可能性がある犯罪になります。

 凶器準備集合罪における「凶器」とは、人を殺傷することができる一切の道具のことをいいますので、鉄砲などの「性質上の凶器」の他にも、釜・斧といった本来の用途としては凶器ではないものの用途次第では人を殺傷するために使用することができる「用法上の凶器」も含まれると考えられています。
 そのため、Aさんが用意した金属バットは性質上の凶器として凶器準備集合罪の「凶器」に該当し、Aさんには凶器準備集合等罪が成立する可能性が高いと考えられます。

15歳の中学生でも逮捕されることがある

 15歳の未成年であっても、刑事罰法規に触れる行為をした疑いがある場合には、警察に逮捕されてしまうことがあります。
 そのため、事例のAさんは15歳の中学3年生ですが、凶器準備集合等罪の疑いで警察に逮捕されています。
 逮捕後は、勾留や勾留に代わる観護措置といった形で、身体の拘束期間が長期間に及ぶ可能性がありますので、中学生のお子さんが警察に逮捕されたことを知ったら、いち早く弁護士に依頼して弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。

中学生のお子さんが凶器準備集合罪の疑いで逮捕されてお困りの方は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件のみならず少年事件にも強い法律事務所です。
 中学生のお子さんが凶器準備集合罪の疑いで逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】配偶者の虐待を黙認した場合に罪に問われる可能性(後編 ※不作為の幇助犯の成立について)

2024-01-12

 前回に引き続き、同居の母に対する虐待の疑いで、傷害の容疑で息子夫婦が逮捕された架空の事件を参考に、配偶者による虐待を黙認した場合に共謀共同正犯や不作為の幇助犯として罪に問われる可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 石川県金沢市在住の会社員男性Aは、妻Bと高齢の母Vと3人で同居していましたが、Bは要介護認定を受け寝たきりのVの在宅介護のストレスから、Vの腕をつねるなどの虐待を行うようになりました。
 AはBからVに対する虐待が行われている様子を目にすることがあっても、Bとの関係悪化を恐れ、見て見ぬふりをしていました。
 Vの娘XがA宅を訪問した際、Vの腕の多数の内出血に気づき、AとBによる虐待を疑い警察に通報したことにより捜査が開始され、AとBはVへの傷害の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、共謀共同正犯の成立について解説しました。

不作為の幇助犯の成立について

 Aに傷害罪の共謀共同正犯が認められなかった場合でも、BのVに対する暴行を黙認したことが、Aの犯行を手助けしたものとして、なお傷害罪の幇助犯が成立するか問題となります。

 幇助犯の成立には、正犯の犯行を容易にする行為がなされたこと(作為)が通常必要とされるため、具体的な行為を行わなかったこと(不作為)を、作為と同視して処罰するには、(1)正犯の犯行を阻止する義務を有すること、(2)阻止することが可能かつ容易であったこと、が必要とされます。

 本件では、(1)について、Aは実母であるVの扶養義務(民法877条)を負う上、要介護認定を受け寝たきりのVと妻Bの3人で同居していることから、BのVに対する虐待が行われている様子を目にした場合は、それを阻止する義務を有すると認められる可能性があります。
 (2)について、AはBの夫であり、特段の事情がない限り、Vに対する暴行を阻止することが可能かつ容易であったと認められる可能性が高いと考えられます。

 なお、子の虐待死事件において、夫から子への暴行を阻止する行為をとらなかった妻に対し、傷害致死罪の幇助犯を認定した裁判例があります。

虐待を黙認したことで逮捕された場合の弁護活動

 傷害罪の共謀共同正犯の場合、通常の法定刑である15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があり、幇助犯の場合でも、刑の減軽はされますが、なお懲役刑の実刑などの重い処罰を受ける可能性はあります。

 共謀共同正犯や不作為の幇助犯の成立の認定に際し、実行行為者との意思の連絡の有無や犯行への関与の形態などについて、逮捕後の取調べで厳しく追及されることが予想されるため、早めに弁護士と接見し、事件の見通しや取調べ対応などについて法的な助言を得ることが重要です。

 また、捜査機関が押さえている物的証拠や実行行為者の供述内容など、捜査状況を的確に把握した上で対応を検討する必要があるため、刑事事件に強い弁護士に依頼し、適切な弁護活動を早く開始してもらうことをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。

 配偶者による虐待を黙認したことによる傷害の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】配偶者の虐待を黙認した場合に罪に問われる可能性(前編 ※共謀共同正犯の成立について)

2024-01-05

 同居の母に対する虐待の疑いで、傷害の容疑で息子夫婦が逮捕された架空の事件を参考に、配偶者による虐待を黙認した場合に共謀共同正犯や不作為の幇助犯として罪に問われる可能性について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 石川県金沢市在住の会社員男性Aは、妻Bと恒例の母Vと3人で同居していましたが、Bは要介護認定を受け寝たきりのVの在宅介護のストレスから、Vの腕をつねるなどの虐待を行うようになりました。
 AはBからVに対する虐待が行われている様子を目にすることがあっても、Bとの関係悪化を恐れ、見て見ぬふりをしていました。
 Vの娘XがA宅を訪問した際、Vの腕の多数の内出血に気づき、AとBによる虐待を疑い警察に通報したことにより捜査が開始され、AとBはVへの傷害の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

共謀共同正犯の成立について

 人の身体を傷害した者には、傷害罪が成立します(刑法第204条)。

 本件で、Vの腕をつねる暴行を加え、内出血を負わせたBに同罪が成立することは明らかですが、Bの当該行為を黙認したAにも同罪が成立するか問題となります。

 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする、と定められています(刑法第60条)。
 「正犯」とは、自ら犯罪を実行する者とされ、原則、法定刑で処罰されるのに対し、正犯を幇助、つまり手助けするに過ぎない者は「従犯」とされ、刑が軽減されます(刑法第62条)。

 2人以上の者がそれぞれ、(1)互いに共同で犯罪を実行するという意思の連絡のもと、(2)犯行の一部を実行した、という(1)及び(2)の要件を充たす場合に正犯と認められるのが通常ですが、(2)の要件を欠く、つまり犯行の一部を実行していない者であっても、実行した者との関係性、犯行に至るまでに果たした役割、犯行による分け前の分与その他の事情を考慮し、正犯と認められることがあります(これを「共謀共同正犯」といいます。)

 本件で、BはVへ暴行を加えていませんが、Vへの暴行についてAとBの間で意思の連絡があったと認められる場合、共謀共同正犯としてBも傷害罪が成立する可能性があります。

 なお、子の虐待死事件において、子に死因となる暴行を加えたのは妻であっても、それをあえて制止せず黙認した夫との間の意思の連絡を認め、夫に傷害致死罪の共謀共同正犯を認定した裁判例があります。

 次回の後編では、不作為の幇助犯の成立について解説していきます。

虐待を黙認したことで逮捕された場合の弁護活動

 傷害罪の共謀共同正犯の場合、通常の法定刑である15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があり、幇助犯の場合でも、刑の減軽はされますが、なお懲役刑の実刑などの重い処罰を受ける可能性はあります。

 共謀共同正犯や不作為の幇助犯の成立の認定に際し、実行行為者との意思の連絡の有無や犯行への関与の形態などについて、逮捕後の取調べで厳しく追及されることが予想されるため、早めに弁護士と接見し、事件の見通しや取調べ対応などについて法的な助言を得ることが重要です。

 また、捜査機関が押さえている物的証拠や実行行為者の供述内容など、捜査状況を的確に把握した上で対応を検討する必要があるため、刑事事件に強い弁護士に依頼し、適切な弁護活動を早く開始してもらうことをお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。

 配偶者による虐待を黙認したことによる傷害の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例解説】お酒に酔って駅員に暴力―弁護士に示談を依頼

2023-12-29

 お酒に酔った状態で駅員に暴力をふるった傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは会社の忘年会でお酒を飲みすぎた影響で、帰りに利用した駅で眠ってしまいました。
 Aさんは終電時間を過ぎた後も駅構内で寝ていたため、駅員のVさんに起こされて駅の外へと運び出されようとしたところ、眠りを邪魔されたことに腹を立てて、Vさんを殴る蹴るといった暴行を加えて、Vさんにケガを負わせました。
 Vさんが警察に通報したことで、Aさんは警察に傷害罪の疑いで現行犯逮捕されましたが、翌日になって釈放されました。
 家に帰ったAさんは今後の対応について刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)

お酒に酔った状態で起こした傷害事件

 これからの年末年始にかけて、会社の忘年会や久しぶりに集まった親族との新年会などの機会でお酒を飲むことが多くなるかと思いますが、事例のようにお酒を飲みすぎたことが原因で暴力をはたらいてしまうと、警察に逮捕されて刑事事件になってしまうというケースは珍しくありません。

 今回取り上げた事例も忘年会で飲みすぎたAさんが駅員であるVさんに殴る蹴るといった暴行を加えてVさんをケガさせていますので、Aさんには刑法204条の傷害罪が成立すると考えられます。傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

傷害罪の被害者の方と示談をお考えの方は

 事例のAさんは傷害罪の疑いで現行犯逮捕された翌日に、警察から釈放されて自宅に帰ることができていますが、釈放されたからといってそれで傷害事件が終了したという訳ではありません。
 今後は、在宅捜査といった形で捜査が進められていき、最終的に検察官が傷害罪起訴するかどうかの判断をすることになります。
そのため、傷害罪前科が付くことを回避することを望まれる場合は、刑事事件に強い弁護士に相談して、今後の流れや対応等についてアドバイスを貰われることをお勧めします。
 傷害事件のように被害者の方がいるような事件の場合には、被害者の方との示談交渉が非常に重要になりますので、相談をきっかけに弁護士に示談交渉を依頼して示談の締結を目指していくことになるでしょう。
 検察官が傷害罪起訴の判断を行うまでに被害者の方と示談を締結することができれば、傷害罪起訴されることを回避して傷害罪前科が付くことを避ける可能性を高めることがで期待できます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 傷害罪の被害者の方と示談をしたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】家のベランダに集まるハトを勝手に駆除―鳥獣保護管理法違反事件

2023-12-22

 家のベランダに集まるハトを勝手に駆除した鳥獣保護管理法違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、自宅のベランダに集まった野生のハトが残していったフンによってベランダが汚れることに頭を悩ませていました。
 Aさんは、ベランダにハトが寄ってこないように対策を打っていましたが、どのような対策をしても効果がなくベランダにはハトが集まってきてしまいます。
 ある日、我慢の限界を迎えたAさんは怒りに任せて、ベランダに集まったハトに植木鉢を投げつけるなどしてハトを数匹殺しました
 その後、冷静になったAさんは、野生のハトを殺すことは犯罪なのではないかと不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)

鳥獣保護管理法について

 つい最近のニュースで、タクシーの運転手がタクシーでハトの群れに突っ込んでハトを1羽ひき殺したとして鳥獣保護管理法違反の疑いで逮捕されたという事件が報道されました。
 このニュースを見て、そんなことで罪に問われるのかと驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、鳥獣保護管理法(正式には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」と言います。)の第8条では一定の例外を除いて、原則として「鳥獣」を捕獲・殺傷することや「鳥類の卵」を採取・損傷することを禁止しています。
 この捕獲や殺傷が原則として禁止されている「鳥獣」とは、鳥獣保護管理法2条1項によって鳥類又は哺乳類に属する野生動物と定義されています。
 そうすると、事例に登場する野生のハトは鳥類に属する野生動物ですので「鳥獣」に該当することになり、事例のAさんは鳥獣である野生のハトを故意に殺傷したということになり、鳥獣保護管理法8条の規定に違反することになると考えられます。
 鳥獣保護管理法8条の規定に違反すると同法83条1号によって、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

 なお、「鳥獣」の定義については法律上、鳥類又は哺乳類に属する野生動物としか記載されていませんので、本来であれば日本に生息していない外来種の鳥類・哺乳類であっても、日本で野生動物として生息しているのであれば鳥獣保護管理法の適用の対象になる「鳥獣」に該当することになります。
 ただし、この「鳥獣」に該当したとしても、「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護若しくは管理がなされている鳥獣であって環境省令で定めるもの」(鳥獣保護管理法80条1項)については、例外的に鳥獣保護管理法の適用対象外になります。
 「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣」としては、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの家ネズミが当たるとされ、「他の法令により捕獲等について適切な保護若しくは管理がなされている鳥獣」としては、ニホンアシカ、ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、 クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ジュゴン以外の海に生息する哺乳類が当たるとされていますので、これらの鳥獣を殺傷したとしても鳥獣保護管理法は適用されないということになります。

動物を殺傷したことで罪に問われないかとご不安な方は

 動物を故意に殺傷したことで罪に問われないかとご不安に思われている方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
 殺傷した動物が「鳥獣」に当たるのであれば鳥獣保護管理法違反になる可能性がありますし、「鳥獣」に該当しない動物を殺傷した場合でも、その動物の種類によって、動物愛護法違反や刑法261条の器物損壊罪が成立する可能性も考えられます。
 そのため、動物を殺傷してしまったという場合は、弁護士に相談することで自身の行為がどのような罪に問われる可能性があるのか、今後どのような対応をとるべきなのかといったことについてアドバイスを貰うことができますので、事件の見通しを立てることができ、現在抱えている不安な気持ちを解消することが期待できます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 動物を殺傷したことで罪に問われないかとご不安な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】正当防衛における「侵害の急迫性」について(運転手間でトラブルになり、相手を負傷させた架空の事例に基づく解説)

2023-12-15

 運転手間でトラブルになり、相手を突き飛ばし負傷させた架空の傷害事件を参考に、正当防衛における「侵害の急迫性」の要件などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介:自営業男性Aさんのケース

 福岡市内在住の自営業男性Aは、県道を自動車で走行中、男性Vの運転する自動車の割り込みに腹を立て、クラクションを鳴らしました。
 Aのクラクションに怒ったVが停車し、後続のA車両に駆け寄って来て口論となり、Vが窓からAの手首を掴んできたため、AはVを突き飛ばして転倒させ、車を発進させました。
 Vは転倒の際に全治3週間の手首の捻挫を負い、警察に被害届を提出したことで傷害事件として捜査が開始され、後日、Aは警察から取調べのための呼び出しを受けました。
(事例はフィクションです。)

正当防衛における「侵害の急迫性」の要件

 AがVを突き飛ばし転倒させたことで、全治3週間の怪我を負わせたことから、Aに傷害罪(刑法第204条)が成立すると考えられますが、Aは、手首を掴んできたVの暴行から身を守るために行った正当防衛であると主張することが考えられます。

 正当防衛の要件は、(1)急迫不正の侵害に対して(「侵害の急迫性」)、(2)自己又は他人の権利を防衛するため(「防衛の意思」)、(3)やむを得ずにした行為であること(「防衛行為の必要性・相当性」)、と定められています(刑法第36条第1項)。

 (1)「侵害の急迫性」について、「急迫」とは、相手方からの暴行などの法益侵害の危険が、現存又は切迫していること、とされます。
 侵害を予期できた場合でも急迫性は否定されないとされますが、その機会を利用し積極的に相手方に対して加害行為をする意思(「積極的加害意思」といいます。)で侵害行為を待っていたときなどは、侵害の急迫性の要件を充たさないとされます。

 「積極的加害意思」までなかったとしても、侵害の予期の程度や侵害回避の容易性などの観点から、警察などの公的機関の保護を求めずに反撃行為を行うことは相当でないとして、要件を充たさないとされる可能性があります。

 本件Aは、VがA車両に駆け寄ってきた時点で、Vから何らかの危害を加えられることも予期し得たと考えられるところ、すぐに自動車の窓や鍵を閉め、必要に応じて警察に通報するなどして、Vの暴行を容易に回避し得たともいえることから、この要件を充たさないと判断される可能性もあります。

傷害事件の弁護活動

 傷害罪で起訴され、正当防衛の主張が認められず有罪となれば、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることとなります。

 本件は、先に述べたように、正当防衛の主張が容易に認められない可能性もあるため、被害者の怪我の程度も比較的軽微であることから、被害者との示談を成立させることにより不起訴処分で事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 仮に起訴されたとしても、刑事事件に強い弁護士であれば、現場の状況や目撃証言など被疑者に有利な証拠を収集し、正当防衛の成立が認められなかったとしても、刑の減軽や執行猶予の獲得に繋げる弁護活動を行うことが期待できます。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、傷害事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 傷害罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方、正当防衛が成立するのではないかと疑問を持たれる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例解説】市道上に障害物を置いて往来妨害罪で逮捕(市道上にコンクリート片を置いた架空の事例に基づく解説)

2023-12-08

参考事件

 Aさんは,仙台市の市道上に円筒状のコンクリート片を二個置いて車の往来を妨害し,その直後にVさんの車がコンクリート片に乗り上げてパンクする被害が発生しました。
 この件でAさんは,往来妨害罪の容疑で逮捕されてしまいました。Aさんの家族は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(事例はフィクションです。)

往来妨害罪とは

 陸路,水路又は橋を損壊し,又は閉塞して往来の妨害を生じさせた場合には往来妨害罪が成立します。
 往来妨害罪と似た犯罪として往来危険罪(刑法第125条)という犯罪があります。
 往来危険罪は,鉄道若しくはその標識を損壊し又はその他の方法により汽車又は電車の往来の危険を生じさせた場合,灯台若しくは浮標を損壊し又はその他の方法により艦船の往来の危険を生じさせた場合に成立します。

 往来妨害罪と往来危険罪との大きな違いは妨害の対象物にあり,汽車や艦船など一般的に大多数の人が乗る乗り物の往来を妨害したという場合には往来危険罪となり,そうではない往来を妨害した倍には往来妨害罪となります。
 上の事案のAさんは,仙台市の市道における車の往来を妨害していますが,市道という一般公衆の往来に用いられる道路は,往来妨害罪における「陸路」に当たると考えられます。
そうすると,Aさんの行為につき往来危険罪ではなく往来妨害罪の成立が考えられるということになります。

 次に,往来妨害罪が対象とする行為について,「損壊」と「閉塞」があります。
 「損壊」とは,道路や橋を爆破するなどして物理的に損壊することをいいます。
 他方,「閉塞」とは,障害物を設置することによって道路などを遮断することをいいます。
 ここでの遮断は,完全な遮断でなく部分的な遮断であったとしても道路の効用を阻害して往来の危険を生じさせた場合には「閉塞」に当たる場合があります。
 上の事案のAさんは,市道上にコンクリート片を2個置いたに過ぎないのですが,コンクリート片の大きさや形状によってはその場所を車が通行できず,部分的に遮断さえるということも十分あり得ます。
 そうすると,Aさんの行為は「閉塞」に当たる可能性があります。

 そして,Aさんの行為によって仙台市の市道が部分的に遮断されたことにより,通行が不可能又は著しく困難になったとして,「往来の妨害」を生じさせたといえます。
 上の事案ではAさんが置いたコンクリート片にVさんの車が乗りあげてパンクしていますが,往来妨害罪は実際に往来妨害の危険が生じたことで犯罪が成立するという具体的危険犯ですので,このような実質的な損害が生じなかった場合でも「往来の妨害」を生じさせたといえます。

 そうすると,上の事案のAさんには往来妨害罪が成立する可能性があります。
 この場合,2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることがあります。

 なお,往来妨害罪に該当する行為を行った結果,これにより人を死傷させてしまったという場合には往来妨害致死傷罪が成立しますので,上の事案のVさんがケガをしたという場合には往来妨害致傷罪が成立する可能性があります。
 この場合,傷害の罪(刑法第204条)と比較して,重い刑により処断されることになります。

車の損害について

 Vさんの車をパンクさせてしまったことにつき,Aさんは何らかの刑事責任を負うでしょうか。
 刑法上の犯罪としては,車という「財物」をパンクさせて「損壊」していますので,器物損壊罪(刑法第261条)の成立が考えられます。

 器物損壊罪が成立するためには,その故意があることが必要となります。
 つまり,AさんがVさんの車をパンクさせようと考えてコンクリート片を置いたという場合には,器物損壊罪が成立する可能性があります。
 他方,そのようなつもりはなく,コンクリート片を置いた結果誤ってVさんの車をパンクさせてしまったというだけであれば器物損壊罪は成立せず,器物損壊罪には過失犯の処罰規定がないため,車をパンクさせたことについて刑事責任は負いません(ただし,民事上の不法行為責任を負う可能性があります)。
 仮に器物損壊罪が成立した場合には,3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料に処せられることがあります。

まずは弁護士にご相談を

 往来妨害罪で逮捕された場合には,早い段階で刑事事件に強い弁護士逮捕段階で初回接見を依頼することをお勧めします。
 初回接見により刑事事件に強い弁護士が直接逮捕された方からお話を聞くことで,今後の処分の流れや弁護活動方針などの見通しを立てることができます。
 往来妨害事件で逮捕されてお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話ください。

【事例解説】集団を装っての脅迫 暴力行為等処罰法違反事件

2023-12-01

 

 SNSで気に入らない発信をする相手に対して集団を装った脅迫メッセージを送った暴力行為等処罰法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんは、SNSで自身の主義主張と反することを常日頃から発信するVさんについて、気に入らないと思っていたところ、ある日の投稿によって怒りの沸点に達してしまい、「俺は元暴走族の総長と親友で、俺が頼めば元メンバー全員動いてくれる」、「お前の家はもう分かっている」、「近いうち、お前んとこにみんなで行ってぶっ殺してやるよ」という内容のDM(ダイレクトメッセージ)をVさんに送りました。
 Vさんから何のリアクションもなかったことから、Aさんは、その後も普通に生活していましたが、ある日の早朝、自宅に警察官が来て、Aさんは暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

集団を装って脅迫メッセージを送ると?

 刑法222条1項では、
「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」
といった形で脅迫罪について規定しています。
 刑法222条に規定されている脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑となっていますが、暴力行為等処罰法では、一定の場合に行われた脅迫行為を刑法よりも重い刑事罰の対象にしています。

 具体的にどのような脅迫行為が刑法よりも重く処罰される可能性があるかというと、暴力行為処罰法1条では、
団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス」
と規定しています。
 漢字とカタカナが交じった形で規定されているので、分かりづらいかと思いますが、要するに、
・実際に団体や多数人で威力を示して行った場合
・本来は違うのに団体や多数人であるかのように装って威力を示して行った場合
・凶器を示して行った場合
・数人で共同して行った場合
といった各場合に暴行罪(刑法208条)、傷害罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)にあたる行為を行ってしまうと、暴力行為等処罰法1条に違反することになるということです。

 事例のAさんは、相手に対して「ぶっ殺すぞ」という内容のダイレクトメッセージを送っていますが、これは生命に対して害を加える旨を告知していることになりますので、刑法222条に規定されている脅迫罪にあたる行為をしていると考えられます。
 そして、Aさんは、脅迫メッセージの中で、元暴走族のメンバーを集めて集団でVさんの家に行ってやるとも伝えていますので、これは団体や多数人であるかのように装って威力を示して脅迫行為を行ったとして、暴力行為等処罰法1条違反になる可能性があります。

 暴力行為等処罰法1条に違反した場合の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑となっており、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑となっている刑法222条の法定刑と比べると、懲役刑の上限が2年から3年に引き上げられています。

暴力行為等処罰法違反の疑いで警察に逮捕されたら

 刑事事件はスピードが命ですので、ご家族が暴力行為等処罰法違反の疑いで警察に逮捕されてしまったら、弁護士に依頼していち早く初回接見に行ってもらうことをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴力行為等処罰法違反事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 ご家族が暴力行為等処罰法違反事件で警察に逮捕されてしまってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

【事例解説】学校内でのいじめで警察が中学生を逮捕

2023-11-24

 学校内でのいじめで警察が中学生を逮捕した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 中学3年生の15歳のAさんは、同じクラスメイトの気弱なVさんを日常的によくからかっていましたが、次第にVさんに対する接し方が激しいものになっていきました。
 AさんはVさんの反応を見て楽しむために、教室でVさんのお腹を殴って押し倒してみたり、Vさんの手足を粘着テープで縛って数分間引きずり回したりしました。
 Aさんのいじめに耐えかねたVさんが両親にいじめられていることを相談したところ、Vさんの両親は警察に被害届を提出しました。
 被害届が提出されたことをきっかけに捜査に乗り出した警察が、Aさんの自宅を尋ね、話を聞きたいからと任意で警察署まで連れて行った数時間後、Aさんは警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

学校内でのいじめにより警察が15歳の中学3年生を逮捕!

 事例のAさんは、同級生のVさんに対して、お腹を殴って押し倒してみたり、手足を粘着テープで縛って引きずり回したりしています。
 このような学校内での同級生に対する暴力行為が問題となる「いじめ」の場合、専ら学校内で解決すべき問題であって、いじめについて警察が捜査に乗り出すことはないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
 しかし、事例のように相手のお腹を殴ったり、押し倒したりという行為は刑法208条の暴行罪に、これによって怪我を負わせた場合は刑法204条の傷害罪に該当する行為ですし、相手の手足を粘着テープで縛って数分間引きずり回すという行為は、刑法220条が規定する逮捕・監禁罪のうち逮捕罪に該当する可能性が高い行為です。
 そのため、法律で定められた要件を満たしさえすれば、このような暴行罪や傷害罪、逮捕・監禁罪に該当する行為を行った人が仮に15歳の中学3年生であった場合でも、警察は中学生を逮捕することができます。

中学生のお子さんが警察に逮捕されたら

 突然、中学生のお子さんが警察に逮捕されてしまった場合、逮捕された中学生のご本人や、子供が警察に連れていかれたご家族様としては、現在どのような状況なのか、今後どのような流れで事件が進んでいくのか、事件が最終的にどのようになるのかといったことについて、分からず、不安な気持ちになられているかと思います。
 そのため、中学生のお子さんが警察に逮捕されたら、いちはやく弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
 この初回接見によって、弁護士が逮捕されたお子さんから事件についてお話を伺うことができますので、事件の見通し等について知ることができます。
 また、暴行罪や傷害罪、逮捕・監禁罪の疑いで中学生のお子さんが警察に逮捕されたという場合、その事件は、少年法が適用される少年事件となり、通常の刑事事件とは異なる流れで手続がなされていくことになりますので、少年事件として弁護士が逮捕されたお子さんのためにどのようなサポートをすることできるのかといったことについて、初回接見に行った弁護士から詳しくご説明することもできます。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 中学生のお子さんが警察に逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

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